2022.08.04
生産者向け情報
気象庁の見通しによると、2022年の8月から10月にかけての気温は、北日本では平年並か高く、東日本・西日本では高くなると見込まれています。出穂期の高温は、胴割れや白未熟粒、白穂の発生の原因となります。また、イネ紋枯病、斑点米カメムシ類の発生も懸念される状況です。
栽培管理作業時の胴割防止対策として、「かけ流しによる地温の低下を図り、かんがい水が確保できない場合は間断かんがい水を行う」等、十分な注意が必要です。さらに、収穫した籾の状態を見極め、収穫後の乾燥調製作業時には、以下の点に注意していただきますようお願いします。
早刈りは未熟粒や水分ムラが多くなり、刈り遅れは圃場胴割れや開エイが多くなります。適期に刈り取りを行えるよう総合的に刈り取り適期を見極めてください。気温が高い場合、生籾をコンバイン袋に入れたまま放置すると変質しやすくなりますので、収穫から4時間以内に乾燥機に張り込み、通風あるいは乾燥を行ってください。
また、乾燥後の水分値が1%程度下がる傾向があるため、乾燥機の水分設定を0.5~1.0%高めに設定してください。収穫時に籾の状態を確認し圃場胴割が発生している場合や、初期水分が20%程度と低くバラツキの多い場合は、乾燥速度を下表に設定し低い温度でゆっくり乾燥してください。
乾燥機型式 | 乾燥速度設定 |
---|---|
SAXESシリーズ | ゆっくり |
SDR-SPシリーズ | ゆっくり |
SDR-MPシリーズ | ゆっくり |
SDR-CP/LPシリーズ | ゆっくり |
SDR-SEZシリーズ | ゆっくり |
SDR-ME/LEシリーズ | ゆっくり |
GDR-VZ/SZ/MZシリーズ | グルメ |
SDR-RSシリーズ | ゆっくり |
SDR-TM/TLシリーズ | ゆっくり |
SDR-TSシリーズ | ゆっくり |
乾燥機の乾燥速度設定例
(詳細は各製品の取扱説明書をご参照ください)
水分ムラが多い場合、乾燥前に初期送風を行うと水分ムラを軽減できます。また、時間にゆとりがあれば「調質」モードもしくは「2段乾燥」モード(18%で5時間休止する調質運転)で乾燥すると、より良い結果が得られます。
乾燥機の調質・2段乾燥の設定方法の例
(詳細は各製品の取扱説明書をご参照ください)
水分値14.0%以下の過乾燥になると、胴割がさらに増加します。毎年初回の乾燥作業時、または品種が変わった最初の乾燥作業時は、過乾燥を防止するため設定水分を希望の仕上水分よりも0.5~1.0%高めに設定してください。乾燥終了後は、排出する前に手持ちの水分計で籾水分を確認してください(手持ちの水分計での測定は3回以上行い、平均値を確認してください)。その結果により、2回目以降の仕上水分を設定してください。
【灯油の使用について】
使用する灯油は、ガソリンスタンド等で正規灯油(JIS 1号灯油)を購入し、使用してください。非正規の灯油は、燃焼トラブルを引き起こす可能性(ノズルが詰まったり、噴霧角度が変わったりする場合)があり、推奨しておりません。
また、タンク内に昨年使用した灯油が残っている場合は、灯油を入れる容器を用意し、ドレン抜きのコックを外して残りの灯油を抜き取ってください。毎年、乾燥機の使用終了後は燃料タンクを空にしてください。
※灯油の廃棄については廃油処理が可能な指定業者での処分が必要です。処分については灯油をご購入されたガソリンスタンドや販売店などにご相談ください。
圃場胴割れが多く見られる場合は、砕米の発生を防ぐため、籾摺ロールのすきまを通常より1~2目盛り程度広めに調整してください。籾摺開始後は、仕上玄米に砕米が発生していないか確認してください。
《TRZ/NRZ ロール制御自動タイプ》
モータを始動し、ロールすきま初期設定が終わったら
「ひらく」ボタンを押し、ロールすきまを開きます。
《NPS ロール制御自動タイプ》
モータを始動し、ロールすきま初期設定が終わったら
「開」ボタンを押し、ロールすきまを開きます。
《ロール制御手動タイプ》
ロールが接触するまでロール調整ハンドルを「閉」方向に回転させます。接触した後、「開」方向に1~1.5回転させます(標準位置)。そこからさらに1~2目盛り「開」方向に回し、すきまを広めに調整してください。
シイナが多い場合、未熟米リターン装置の切換レバーを「排出」にしてください。その後、未熟米リターン装置からシイナが多く出る場合は、風量調整シャッタのツマミを右に動かして風量を多くし、籾殻ダクトよりシイナを排出してください。なお、風量を強くしすぎて、玄米が飛ばないようご注意ください。
木片や石が混入していると、返り籾スロワの部品が破損しますので、大きな異物はできるだけ取り除いて籾摺りを行ってください。 異物が多量に循環した状態で運転を続けると、スロワの羽根とスロワケースの間に異物が挟まり、スロワの羽根が変形し詰まりの原因となります。 また念のため、スロワの羽根の予備部品を用意しておくようにしてください。
←異物(木くず、石など)
昇降機バケットベルトの緩みは、詰まりの原因になります。昇降機点検窓から見て、バケットベルトが緩んでいないか、片寄りがないか確認してください。
※作業を行う前には、「メインレバー」を「⓪」位置にし、電源プラグを抜いてください。
《バケットベルト調整ボルト》
【バケットベルトが緩んでいる場合】
左右のバケットベルト調整ボルトを締めこんでください。
【バケットベルトが片寄っている場合】
バケットベルトが片寄っている側の調整ボルトを締めこむか、バケットベルトが片寄っている反対側の調整ボルトを緩めて、片寄りがなくなるよう調整してください。
農林水産省は『令和4年度病害虫発生予報第5号(水稲特集)』で、2022年は一部地域においてカメムシ類等の病害虫の発生が多い傾向と発表しています。これにより、着色粒(斑点米*)の発生が増加することが考えられます。また、連日の高温により、乳白(シラタ)の発生も懸念されます。このように着色粒(斑点米*)や乳白(シラタ)が多いときは、光選別機が不良品の選別に威力を発揮します。
* 斑点米・・・カメムシが水稲籾を加害することにより、褐色の斑点が表れた米
《青未熟 選別時》
最初は青未熟の感度を-10に設定し、選別状況を確認しながら徐々に感度を上げてください。
《乳白(シラタ)選別時》
最初は乳白の感度を-10に設定し、選別状況を確認しながら徐々に感度を上げてください。
【注意】1秒あたりの噴射回数が一定の値を超えると、警告表示がでます。
噴射回数が高すぎるという警告表示が出たら、感度を下げる、投入量を下げるなどして噴射回数が少なくなるよう調整してください。
《青未熟 選別時》
※画面は「ピカ選スマート」
最初は青未熟の感度を-10に設定し、選別状況を確認しながら徐々に感度を上げてください。
《乳白(シラタ)選別時》
※画面は「ピカ選スマート」
最初は乳白の感度を-10に設定し、選別状況を確認しながら徐々に感度を上げてください。
(※1) 乳白(シラタ)感度をONにすると籾感度表示が消えますが、故障ではありません。
(※2) 乳白(シラタ)感度は、運転中にOFFからON、またはONからOFFに切り替えることはできません。
【注意】1秒あたりの噴射回数が一定の値を超えると、警告表示がでます。
噴射回数が高すぎるという警告表示が出たら、感度を下げる、投入量を下げるなどして噴射回数が少なくなるよう調整してください。