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JAきたそらち 新精米施設で見える化を実現

2019.10.23

No.19-033 /2019年10月23日

JAきたそらち 新精米施設で見える化を実現

― 安全・衛生面に加えミルコンボ導入で食味向上を図る ―

 豊かな自然と山海の幸に恵まれ、国内外から高い人気を集める日本屈指の観光地「北海道」。今回、石狩平野の北部に位置する深川市を訪れ、きたそらち農業協同組合(以下「JAきたそらち」)の「見える化」を実現した新精米施設について取材した。  

【JAきたそらちの農業】

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JAきたそらちの1市3町

 JAきたそらちは、北海道中央部の空知管内北部に位置し、深川市、雨竜町、北竜町、幌加内町の1市3町を区域とする広域JAである。北海道有数の稲作地帯として知られており、米を基本に、そば、小麦、大豆・小豆といった畑作物や、すいか、メロンなどの果実も盛んで、各地域がそれぞれ特徴のある作付けを行っている。米に関しては、総生産量が約5万2千トンで、各産地をブランド化し拡販している。最近ではふるさと納税関係での出荷が増加している。農家戸数は約1,000戸、1戸当たりの平均作付け面積は約18ヘクタール。

【新精米施設の建設】

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新精米施設全景

 JAきたそらちは、長らく雨竜町にある精米施設で精米及び無洗米加工を行ってきたが、近年、ふるさと納税の返礼品用として精米量が増加し、処理能力の不足が顕在化してきた。新たな精米施設建設の機運が高まったが、処理能力の向上だけではなく、精米施設としての在り方や今後の施設計画など多岐にわたり検討した。この事業計画は国費事業の対象となり、1 市3 町の補助を仰ぎながら、実現へと駒を進めた。

 2019年3月14日、新精米施設が竣工し、同年6月3日に運用開始した。新精米施設に求められたものは何か。それを明快に答えてくれたのがJAきたそらち代表理事組合長の柏木孝文氏(56歳)である。「新精米施設の建設にあたって様々な検討を行ってきました。求めた条件は、多品目が処理できること、来訪者が施設内を見学できること、稼働率を上げられること、将来的に精米HACCP認定を取得しうる施設であることなどでした。要は消費者に米は食品であることを再認識してもらいたい、安全・衛生面に十分対応した施設を見ていただきたいという気持ちです」と組合長は語る。

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柏木孝文 代表理事組合長

 食味についても妥協することはなかった。旧精米施設の精米機はサタケのミルマスター(研削+摩擦の2段方式:毎時処理能力1トン)であったが、新精米施設では同社のミルコンボ(摩擦3段方式:毎時処理能力3トン)に機種変更した。これについて組合長は「サタケだけでなく、他社の精米サンプルも含めた炊飯食味試験をしました。その結果、パネラー8名全員がミルコンボに軍配を上げました。私も明らかな食味・食感の違いを実感しました。『米を研いだ時の感触も違う』と担当者もびっくりしていました。この試験結果でミルコンボの導入を決断しました」と当時の様子を語った。

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ミルコンボ

同JAは精米施設のコンセプトとして次の2つを掲げている。

① 見える化・攻める販売戦略と発信 ~衛生的な工場設計~
 ・工場内をガラス張りにすることで、清掃工程を見える化
 ・衛生的な工場設計にすることで、工場で働く職員の意識向上
 ・工場内と区画された見学通路により、いつでも視察受け入れが可能
 ・積極的な視察の受入れにより、産地精米の安心と衛生管理工場による安全からなる「きたそらち米」の発信力の拡大

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光選別機


② おいしさへのおだわり ~新精米方式(ミルコンボ)の採用~
 ・「ミルコンボ(摩擦3段タイプ)」は低圧摩擦による3段階精米により低い圧力を加えながら、米表面の糠層だけを優しく削り取る。砕米発生が少なく、米本来持っている旨味を残し、さらに高歩留まりに仕上げる。また、米表面のキズが少ないため、炊飯時の粒感がよく、経時変化での劣化が少ない、おいしさ長持ちの新精米方式 

 精米施設の運用開始後の状況について同JA販売部米穀課の吉田拓哉主査(41歳)は、「運用開始後、順調に稼働しています。以前の精米機と比べ、ミルコンボは歩留まり、仕上がり共に良く、出来上がりに差があります。精米施設全体も作業環境や衛生環境が向上し、顧客からのクレームもありません。また、以前はピーク時の労働時間が長かったのですが、精米機の処理能力が向上したことや快適な作業により、定時間内に業務が終了できます」と、新精米施設のハード、ソフト両面で満足度が上がっている様子がうかがえた。

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吉田拓哉主査

【JAきたそらちの今後について】

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JAの役割について語る柏木組合長

 これからの展開について組合長は、「当面は、当農協で集荷された玄米の5%を精米するのが目標です(現在3%)。北海道の米どころである当JAでも耕作面積の確保が難しくなってきている状況ですが、日本人の主食を守るという思いを持っています。また、海外への白米輸出を増やしていきたい」と、穏やかな口調の中にも強い意志を感じた。

 同JAのホームページに組合長の言葉が掲載されている。「本格的な人口減社会の到来が迫っていますが、北海道はそれらに先んじて地域の過疎化が進みコミュニティの維持に苦慮しています。地方からヒトやモノが消えつつある今こそ、共に助け合うという協同の理念に基づいた行動が必要ではないでしょうか。当JAは安定した農業生産が、安定した農業所得と組合員を支え続けられる農協経営を実現するとの認識のもと、今後も当地域の産業の核であり続ける農業の振興を通じた地域社会への貢献をその経営理念として掲げております」。

 地方と農業の衰退が叫ばれて久しいが、食の王国北海道も例外ではない。しかし組合長は事態を甘受するのではなく、現状打開に向けた考え方、取組みの重要性を説き、日々実践しているのだ。日本有数の米どころとしての存在感を示し、地域産業の核として鋭意努力を続けるJAきたそらちの今後に大いに期待したい。

以上

別紙

1.JAきたそらちの概要


名称 : きたそらち農業協同組合(JAきたそらち)
代表者:代表理事組合長 柏木孝文
所在地:北海道深川市北光町1丁目10番10号
設立:2000年2月(深川市、雨竜町、北竜町、幌加内町の8JAが合併)
主な事業:信用、共済、販売、購買、営農指導他

2.精米施設の概要


事業名:平成30年度 強い農業づくり事業 きたそらち農協精米施設 新設工事
施主:きたそらち農業協同組合(JAきたそらち)
施工:株式会社サタケ
生産能力:3,000トン/年
設備機器:精米機(摩擦3段式)、フルカラー光選別機、小型無洗米加工装置、全自動包装機、フレコン計量機、金属検出機、ロボットパレタイザーなど

以上

(本リリースへのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報部)
※ニュースリリースの内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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