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地域との共生で目指す大規模複合経営

2018.10.03

No.18-026/ 2018年10月3日

地域との共生で目指す大規模複合経営

― 「100年生き残り」をかけ成長を続けるサカタニ農産 ―

 富山県西部に広がる砺波平野。南に飛騨高地を控え、豊富な水をたたえる庄川、小矢部川の扇状地であるこの地は、古くから用水路や水田が整備され、穀倉地帯として豊かな恵みをもたらしてきた。「カイニョ」と呼ばれる屋敷林で囲まれた住宅が点在する散居村は、この地域の特徴的な景観として訪れる人を魅了する。

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砺波平野の散居村

 この砺波平野で、借地を中心とした全国屈指の経営規模と、地域社会に根差した多角経営によって、成長を続ける農事組合法人がある。それがサカタニ農産(住所:富山県南砺市上川崎139-3、代表理事:奥村一則)だ。現在、南砺市を中心拠点とし、隣接する砺波市、小矢部市にも営農事業を拡げ、農地の総面積は398haに達する(2018年9月現在)。水稲を中心に、大麦、野菜、果樹など栽培品目は多岐にわたり、さらに味噌や餅など加工にも取り組んでいる。同法人で水稲部門の責任者を務める前田幸雄氏(59歳)にインタビューを行った。

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サカタニ農産 本社社屋

 「398haのうち水稲は294ha。基本的に利用権設定による借地です。毎年10ha前後ずつ増えていて、今年は前年より17ha増えました」と話す前田氏。販売先については米穀小売店からの引き合いの積み上げを仲買業者が集約する形で、ほぼ全量を契約栽培している。

 米以外の作物や加工にも取り組む理由については「今後の農業を担っていく若い方に来てもらうため、冬場にもきちんと働けて、年間雇用が可能な環境をつくっています」と、その思いを語る。現在は20代前半からベテランまで、幅広い年代の人材が活躍している。各作物の栽培については「責任者だけ決めているものの、誰が何担当と決まっているわけではない。大きな風呂敷で動くのがうちのやり方」と言い、それにより水稲も野菜も果樹も、すべてわかるオールマイティーな人材の育成につながっている。

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水稲部門の前田幸雄氏

 サカタニ農産では今年、自社ライスセンターの乾燥機16台のうち一部を更新した。選んだのはサタケのSAXES乾燥機、60石タイプを5台導入した。11年使用した以前の乾燥機が老朽化し、修理できない箇所が出てきたため、昨年秋から更新を検討していたが、サタケの営業担当より大規模農家用の新型機が出ることを聞き、「従来タイプより軸や鉄板が強化されているので、少しでも耐用年数が伸ばせるのなら」と、SAXES乾燥機に決めた。水稲の収穫時期前後には、タマネギの栽培管理、畔草刈り、麦の播種など多くの作業が同時並行して行われる。「水稲の作業はなるべく遅れなく、効率よく進めたい」というのも、SAXES乾燥機を導入した理由のひとつだ。

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SAXES乾燥機(60石タイプ)

 SAXES乾燥機を使用しての実感を尋ねたところ、取材をした時点でわずか17日間の使用であることを前置きしたうえで「水分設定などの操作がしやすいです。文字が大きくはっきり出るのも見やすい。ありがたいのは張込量の自動設定、ノータッチで機械が判断して設定してくれるので、うっかりミスも防げて安心です」と、操作面では高い評価をつけた。酒米、種子、もち乾燥に適したモードを備えていることも、評価ポイントのひとつに挙げている。また、来年からは「ネットワーク遠隔監視システム」を導入予定で、「自宅にいても携帯端末で、乾燥が仕上がったかどうかや、トラブル時でも見に来ることなく『燃料が無い』程度のことは判断できる。ずいぶん便利になると思います」と、期待する前田氏。さらに、乾燥開始・終了時刻や水分値などの作業履歴データも取得できることから、それらデータの活用も視野に入れている。

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タッチパネル式操作盤

 米づくりにおいてのポリシーとして「おいしい米を食べてもらいたい、というのが思い。作業効率よりも、食べてくださる消費者のことを優先するように心掛けています」と話すとおり、籾乾燥速度は「ゆっくり」に設定し、低めの温度でゆっくり仕上げるようにしている。今年、乾燥機の更新に合わせて光選別機も更新したが、これが「タイミング的にはちょうど当たった」のだという。夏に高い気温が続き、米粒が白濁する「シラタ」が多く発生したが、毎時最大8.4トンの玄米を選別できるピカ選GRAND(3連座タイプ)によって、全量を滞りなく選別することができた。また、堆肥と有機肥料を中心に施用して育てた減農薬の米は、自社ブランド「ワールドエース」として全国に販売され、多くの支持を得ている。丁寧な米づくりの姿勢が、多くの顧客からの信頼を集めているゆえんだ。

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光選別機「ピカ選GRAND」

 将来を展望して前田氏は「『100年生き残り』をテーマに、今後も1000haを目指して規模拡大を図るとともに、新たな作物も取り入れ市場ニーズに合った生産を行っていきたい。そのために大切なのは、次世代を担う人材を育てること」だと語る。所有する農業機械はすべて、農閑期に自分たちでメンテナンスをするという伝統が、同法人では根づいている。そしてその技術はベテランから若手へと、継承されている。この絶え間ない挑戦と人づくりの両輪が回り続ける限り、サカタニ農産は地域農業の雄として輝きを放ち続けるに違いない。

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従業員の皆さん

 

サカタニ農産 概要

  • ■名称 :農事組合法人サカタニ農産
  • ■所在地 :富山県南砺市上川崎139-3
  • ■代表理事 :奥村一則
  • ■出資戸数 :26戸(農産関係3社合計)
  • ■従業員数 :27人(同上、臨時雇用者を除く)
  • ■グループ・関連企業:
     (農)サカタニ農産、(有)ヤマダ農産、(有)やまだカントリー・オヤベ、
     (有)サカタニ造園土木
  • ■おもな沿革 :
      昭和39年  初代代表の故酒谷実氏が、前身であるホリサカ農産を設立
      昭和42年  構成農家6戸による任意組合として、サカタニ農産に改称・設立
      昭和47年  法人化し、(農)サカタニ農産となり、借地型大規模経営を目指す。
      昭和60年  減農薬減化学肥料米「ワールドエース」の登録商標を出願、全国に販売。
      平成7年  「農林水産祭水稲部門農林水産大臣賞」「第24回日本農業賞大賞」
            「農林水産祭農産部門天皇杯」を受賞

以上

(本リリースへのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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