製品・技術
2022.06.30
No.22-022 / 2022年6月30日
プラント事業本部副本部長インタビュー
― 新型無洗米製造装置の開発や無洗米市場について語る ―
サタケ(本社:広島県東広島市西条西本町2-30、代表取締役社長:松本和久)は、4月25日に新型無洗米製造装置「MPRP36A」を発売しましたが、開発の意図やセールスポイント、無洗米市場に対する認識などを、佐藤充プラント事業本部副本部長に聞きました。
― 開発の意図、背景について教えてください
熱付着材(タピオカなど)を使用した無洗米製造装置「NTWP(ネオテイスティ・ホワイトプロセス)」を開発して20年以上経過しました。その間、無洗米は消費者や外食・中食などの利用が高まり、確固たる市場を形成してきました。一方、利用者の要求品質が年々レベルアップし、SDGsなど社会的課題や要請に対応する必要性も生まれてきました。そこで、従来機をあらゆる点(おいしさ、コスト、濁度、白度、環境対応などの品質)で超えた新型無洗米製造装置の開発に取り組みました。
― 開発でこだわった点、強調したかったことは何ですか
おいしさ、環境対応(貢献)、利益提案の3点に特にこだわりました。やはりおいしさを求める声は多く、譲れない点でした。NTWPでも一定の評価を頂いていましたが、MPRPでは炊飯特性も含め、さらに品質の向上を目指しました。環境対応は、省エネや温室効果ガスの削減、SDGsへの取組みなどに配慮したシステム設計を重要視しました。利益提案においては、無洗米品質の向上や環境貢献など総合的な利益提案ができる製品開発を進めました。その意味でMPRPはマーケットインとプロダクトアウトの両輪で開発した無洗米製造装置と言えるでしょう。
― MPRPの特長やセールスポイントを紹介してください
第一に、おいしさの向上を図るため2つの新方式を採用しました。まず、超微小気泡(直径1μm未満)を有する「ウルトラマイクロバブル水(UMB水)」の使用です。これにより、白米表面の微小な糠の洗浄効果が向上しました。次に「マルチパス洗米・脱水方式」です。洗米・脱水工程を2回設けることにより白米への圧力を分散・低減できました。この2つにより、NTWPに比べ食味、歩留りの向上と濁度低下の効果があります。第二に、環境貢献です。MPRPは無洗米加工に化石燃料を用いずCO2排出量を70%以上削減しています(NTWP比較)。UMB水を循環利用することで約50%の節水効果もあります。食品リサイクルという点でも栄養豊富なとぎ汁を液体飼料として活用しています。このような環境への配慮からSDGs目標17項目のうち10項目を達成しています。第三に、無人運転が可能になったことです。AIやIoTなど技術の進歩と社会的要請から24時間、夜間運転を可能にしました。
― どのように販売を進めていきますか
MPRPは、既存の無洗米製造装置からの更新需要(入替え)が主になりますので、無洗米品質の向上や環境貢献など装置のメリットを十分に伝えたうえで、導入による利益提案をさせていただきたいと考えています。
― 今後無洗米市場はどうなると考えますか
特に業務用無洗米は環境対応が加速度的に進むだろうと思います。良食味や安定した品質は当然求められますが、温室効果ガスの削減など環境への対応が必須になり、無洗米の存在意義や使命が改めて問われていくと思います。今や環境対応は世界的な問題であり避けて通れないことは明白です。
― これからの精米工場はどうなると思いますか
安全・安心でおいしく安定的に米を提供するという基本は変わらないと思いますし、社会変化に伴うさまざまなニーズに応えていく必要はあると思います。そのうえで、精米工場の利益を高めることが健全な運営につながると考えます。そのため、品質向上に常に心を配りながらも、効率化、簡素化できる部分を増やすことが求められます。AIやIoTなどを活用したDXにより、工場の省人化や無人化を図り無駄を削ぐ。これまでの人の経験や勘を数値化し、かつ様々なデータ分析を行うことで迅速に最適な精米が行える。このことはメンテナンスやトラブル対応にも威力を発揮します。
― 今後サタケはどのような取組みをしていきますか
やはりお客さまの利益につながる提案をしていきたいと考えています。MPRPはその試金石であると言えます。また、繰り返しになりますが環境対応や持続可能性を考慮した製品を開発する必要があります。これまでの市場原理を重視した事業経営だけでなく、SDGs時代に求められる対応が肝要であると考えます。「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしに、「作り手よし、地球よし、未来よし」を加えた六方よし経営を念頭に鋭意取り組んでいきます。
【佐藤充(さとうみつる)プロフィール】
1994年株式会社佐竹製作所(現サタケ)に入社。精米機事業部、仙台および東京営業所、経営企画室などを経て、現在プラント事業本部副本部長
以上
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