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JA四万十の高品質米への挑戦と地域への思い

2017.06.19

No.17-021 / 2017年6月19日

JA四万十の高品質米への挑戦と地域への思い

― 高知県で唯一のカントリーエレベーター保有 ―

 高知県西南部に位置する高岡郡四万十町。この地で食と農を基本とし、地産地消に真摯に取り組む四万十農業協同組合(以下、「JA四万十」)。その志と、米や野菜づくりの現況を取材した。

【四万十川中流域に位置する四万十町】

JA四万十CE周辺の田園風景

 「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川。その中流域に位置する四万十町は、2006年(平成18年)に窪川町、大正町、十和村の2町1村が合併して誕生した町である。総面積642.30km2の約87%が林野で、集落の多くは四万十川とその支流の河川沿いや台地上にあり、一部は土佐湾に面する海岸部にある。町の中心となる東部(旧窪川町)は標高230mの盆地で、約2,000haの農地を有する県内で有数の穀倉地帯である。 気候は、南国高知のイメージとは異なり、昼夜の寒暖の差が激しく、冬場は氷点下になることもあるという。


【JA四万十管内の特色】

武政盛博 代表理事組合長

 JA四万十は、1999年(平成11年)にJA四万十とJA大野見が合併して設立された。その後の市町村合併により、現在は、四万十町の窪川地域と中土佐町の大野見地域が管内となっている。「四万十町の人は、おおらかで、おだやか」。笑顔でそう語るのはJA四万十代表理事組合長の武政盛博氏(65歳)。組合長の物腰の柔らかさが、その言葉を如実に物語る。一方で、農業や地域の発展について語る姿からは、その熱き思いを肌で感じ取ることができる。「昼夜の大きな温度差が良食味米を育み、JA四万十の米は県内で大変おいしいと評価が高い。他にも、日本一の生産量を誇るショウガをはじめ、 ニラ、ミョウガ、ピーマンなどの園芸作物や約3万頭の養豚などが盛んな農畜産業の町である」と武政組合長は胸を張る。その言葉通り、基盤整備率は80%に達し、「ヒノヒカリ」「十和錦(香り米)」「にこまる」などの品種を管内約1300haの水田で生産している。

「にこまる」と「ヒノヒカリ」

中でも「にこまる」は、平成28年産米食味ランキング(日本穀物検定協会)で高知県初の特Aに選ばれ、また昨年12月の第18回米・食味分析鑑定コンクール 国際大会においても、「都道府県代表 お米選手権」の金賞を受賞している。養豚も、四万十のおいしい米を飼料として与えたコメ豚がヒットするなど、栽培・飼育に適した気候風土に加え、創意工夫や努力を惜しまぬ取り組みが、米・野菜・畜産で三位一体の成果を上げていると言える。




【高知県唯一のカントリーエレベーター】

JA四万十CEの全景

 JA四万十の特色として挙げられるのが、高知県で唯一のカントリーエレベーターを保有していることだ。このJA四万十カントリーエレベーター(以下、「CE」)は、1988年(昭和63年)に竣工した(処理能力3,000トン)。建設当初の様子やその後の状況を販売推進課長の川村陽三氏(59歳)に尋ねた。当時、農業の機械化が進み兼業農家が増えたこと、今摺り米をアピールしたかったこと、この地域は雨が多く不順な天候であることなどからCE導入の機運が高まり、サタケ(本社:広島県東広島市西条西本町2-30、代表:佐竹利子)が施工した。その後、JA管内の農家戸数は減少するも集落営農化が進み、現在その数は77に上っている(法人含む)。このように農業形態・環境が変化する中、CEは旧態依然として以下の問題を抱えていた。

川村陽三 販売推進課長

 (1) 「ヒノヒカリ」と「にこまる」の刈取り・荷受けシーズンが重なり、乾燥機の処理能力や操作・性能面から同時に2品種を荷受けできない状況であった。「にこまる」は県の奨励品種としてブランド化を目指していたため、同時荷受けが喫緊の課題であった。

新設の光選別機

 (2) 近年の気象条件などにより稲こうじ病が発生し、品質向上には光選別機の導入が必要とされた。

 この問題解決のため、サタケによる施設診断を行うとともに、川村課長自らも他県のCEの視察や設計打合せを熱心に行うなど導入計画を綿密に立て、2016年に「にこまる」専用の循環式乾燥機(ドライドームODR60:処理能力60トン)および光選別機(ES02U)の導入を決定した。同年8月に改善工事を開始し、翌2017年2月6日に完工した。

 本年8月の盆明けから稼働予定であるが、川村課長は「全量一等米にして品質向上を図りたい。籾搬入時の待ち時間軽減を図り、併せて一般職員も協力しCE利用農家へのサービス向上に努めたい。販売面では特A認定をバネにさらに拡大したい」と意気込む。



【JA四万十の志と矜持】

JAの意義を語る武政組合長

 良食味米をはじめ、園芸、畜産で地域農業の活性化を推し進めるJA四万十だが、根底にはJAの存在意義と地域の一体化を重視する姿勢がある。「農業とは、国民の食料を守ると同時に命を育む産業」と武政組合長は語る。そのうえで、「自然・人・地域が共生できる取り組みを重視して、地域農業がさらに発展できるようJAとして貢献していく」(同)としている。理想論だけでなく「販売高を意識した地域振興が大切」(同)とも。また、食と農を基本とした教育文化活動にも力を入れている。地域の小学生を対象に「食と農を子どもたちに身近に感じてもらいたい」と農業体験「あぐりスクール」を開催し、これまで14回(年1回)実施している。「JAはその地域の中心であり、行政ができないことでも地域が一体となれるよう、幅広く入り込んで活動することが大切」(同)という。

 最後に武政組合長の「JAは農業だけではない。ライフラインである」と熱く語る姿に、JA四万十の志と矜持を見ることができた。

<JA四万十>


 ◆名称:四万十農業協同組合(略称JA四万十) ◆住所:(本所)高知県高岡郡四万十町榊山町586-2
      (C E)高知県高岡郡四万十町東大奈路513
 ◆代表理事組合長:武政盛博 ◆事業内容:信用事業、共済事業、営農事業、購買事業、販売事業、生活事業 ◆組合員戸数:3,454戸(正組合員戸数2,260戸、准組合員戸数1,194戸)

JA四万十の本所ビル

「祝にこまる特A獲得」の懸垂幕

特Aに選ばれた「にこまる」

ショウガの集荷場での作業風景

以上

(本リリースへのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
※ニュースリリースの内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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