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美味しいご飯で福井の「食の魅力」を発信

2015.06.01

No.15-021 / 2015年6月1日

美味しいご飯で福井の「食の魅力」を発信

―炊飯事業を柱として地域活性化に取り組む三丹本店―

株式会社三丹本店本社・炊飯工場と
従業員の皆さん

 「関西の奥座敷」と称されるあわら温泉は、福井県内屈指の温泉街で、温泉療法士の薦める名湯百選にも名を連ねている。このあわら温泉にほど近い場所に本社・炊飯工場を構える株式会社三丹本店(福井県あわら市二面3丁目706-2、久田恭司代表取締役)は、炊飯事業を核として、地元温泉旅館の支援を行うとともに、地元特産品の開発にも取り組むなど、地域活性化の要として欠かせない存在となっている。同社の歩みと、今後の取り組みなどを取材した。

 株式会社三丹本店のルーツは、現在の代表取締役・久田恭司氏の母・栄子氏が東尋坊で開いた食事処と土産物店「越路」。店の前を通る一人ひとりに冷たいおしぼりを手渡す、きめ細やかな温かいおもてなしに人気が集まり、いつしか地域一番店に成長していった。その後、久田氏の兄・哲氏が寿司店を開業。回転寿司やお持ち帰り寿司の店として事業は軌道に乗り、久田氏も事業に加わることとなった。さらに事業を拡張しようという矢先、運命のいたずらか哲氏が若くして他界してしまった。兄の遺志を胸に事業を受け継いだ久田氏は、美味しさとおもてなしの心で郷土の発展に尽くしていくことを心に決めたのだという。

あわら温泉名物の「芦湯(足湯)」

 大火など幾たびかの試練を乗り越え、不断の努力により発展をとげてきたあわら温泉。近年は全国チェーンの旅館の進出などにより、老舗旅館も厳しい価格競争にさらされ、経営合理化を図る必要にせまられている。しかし食材の質をとしたのでは、これまで築いてきたブランドの価値を下げてしまう。そこで久田氏が着目したのは、炊飯工程だ。これまでは各旅館で独自に炊飯をしていたが、その工程を自社が専門的に請け負うことで、設備保全や人件費、水道光熱費などの面で旅館経営の合理化に貢献できるのではないか、と考えたのだ。





久田恭司 代表取締役

 久田氏はまず、各旅館がどのように炊飯しているのか、調査することから始めた。すると、繁忙期と閑散期で炊飯量が大きく異なり、繁忙期には炊飯業務委託をしていること、旅館によって炊飯に対する知識がまちまちで、品質面に大きく影響していることなどがわかってきた。それらのことから、自社が役に立てる余地が大いにあると考え、炊飯事業への進出を決めた。

 久田氏はまず資金の調達に動くとともに、設備の選定も慎重に進めていった。複数の炊飯業者を見て回り、それぞれの設備のメリット・デメリットを検討した。ある時出会った炊飯職人のひとことが引っかかった。「自分は長年ガス炊飯のノウハウを蓄積してきた。自分なら最高品質の炊飯ができる」。逆に言うと、ノウハウの無い自分たちが炊飯事業に乗り出すのは無謀なことではないのか、そう不安を感じたと久田氏は言う。

 そこで注目したのがサタケのIH炊飯設備「炊飯マイスター」だ。実際には、産地や品種ごとに最適な炊飯設定を見つけるまでに何度もテスト炊飯を繰り返したのだが、一度設定をしておけば長年の経験と勘に頼ることなく、安定した品質の炊飯が可能となる。また排熱が少なく、燃焼を伴わないため、安全で快適でクリーンな環境で作業ができる。昔のような3K職場では従業員の雇用も難しいと考え、ガス炊飯でなくIH炊飯設備を選んだ。

サタケ炊飯マイスター(炊飯能力20釜/時)

 2012年5月、晴れて炊飯工場が完成した。矢も盾もたまらず、旅館関係者を招いて設備を見てもらった。しかし返ってきたのは「機械臭いご飯なんか食えるか」という言葉だった。確かに設備は入ったものの、炊飯設定の調整はまだ半ばであり、完全というところまでは至っていなかった。加えて、納得してもらうためには理論的な裏付けも必要だということを痛感させられた。結局、初年度は取引の実績がないまま過ぎていった。

 そこで久田氏は、日本炊飯協会が行う「ごはんソムリエ」の認定を取得し、ご飯に関する幅広い知識の習得に努めた。原料米は、良食味米産地として知られる福井・大野産のコシヒカリに絞り込んだ。さらに炊飯設備の設定調整に取り組み、完全なものに仕上げていった。そのころ、従来から旅館と取引していた炊飯業者と旅館との間で、異物混入の問題が表面化していたこともあり、ある大手旅館から三丹本店に対し再度試食をしたい旨の申し入れがあった。このときようやく「美味しい」という評価を得て、2013年6月より取引開始となった。現在は大手旅館3館へ取引が広がっている。今後は、あくまでも地元を中心にさらに取引先を増やしたいと、久田氏は考えている。

プレミアム部門・金賞「福の井プレミアム御膳」

 また2013年からは、福井商工会議所主催の会議弁当ご賞味会コンテストに応募し、1,000円弁当部門において3年連続優秀賞を受賞した。さらに福井の食の魅力を全国にも発信したいと考え、本年4月に開催されたファベックス2015「惣菜・べんとうグランプリ」のプレミア部門に応募した。三丹本店が出品したのは、「かにめし」と「若狭牛のステーキ丼」の両方を味わえる「福の井プレミアム御膳」。コース料理をイメージし、前菜からデザートまでが一つの箱に詰められている。審査の結果、見事に最高位の金賞に輝いた。「温泉旅館で味わえる料理を弁当で実現したかった」と語る久田氏。「蓋を開けた時に感動してもらえる弁当」へのこだわりは、三丹本店のすべての弁当づくりに表れている。

地元特産品化を目指す「柿の葉すし」工房

 現在は地元の柿生産農家と協力して、供給を受けた柿の葉を材料に柿の葉すしを作り、特産品化する取り組みを始めている。炊飯工場向かいに作業場を確保し、製造設備一式を揃えた。この事業は農商工連携事業としての認定を受けている。また、えちぜん鉄道とは共同で新たな駅弁の開発を協議している。「地場の観光地が賑わってこそ、自社の発展がある」と語る久田氏。母、そして兄から受け継いだ創業の精神を堅持し、炊飯事業を柱として、地域活性化のために尽力する三丹本店に、周囲の期待も高まっている。





【会社概要】
社名   :株式会社三丹本店
営業品目 :お寿司、お弁当、慶事・仏事用料理、オードブル、寿司材料、白飯・酢飯等卸
本社所在地:〒910-4103 福井県あわら市二面3丁目706-2
販売店舗 :四ツ居店(ハニー食彩館四ツ居店内)、丸岡店(ハニー食彩館丸岡店内)、
三国店(ハニー食彩館みくに店内)、芦原店(ビッグマート芦原店内)、
春江店(ビッグマート春江店内)、三国中央店(ピアファーム三国店内)、
金津店(ビッグマート金津店内)、開発店(ビッグマート開発店内)、
北の庄店(食市場北の庄店内)、大安寺店(新鮮館大安寺店内)

以上

(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
※ニュースリリースの内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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