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バラスト水生物検査手法が国際海事機関で承認

2015.05.25

No.15-019 / 2015年5月25日

バラスト水生物検査手法が国際海事機関で承認

―簡易分析の手法としてサタケが独自に開発―

開発中のバラスト水生物検査装置

 サタケ(東広島市西条西本町2-30、代表:佐竹利子)が独自に開発したバラスト水(※1)生物検査手法が、このたび国連の専門機関である国際海事機関(略称:IMO)より承認され、サンプリング・分析手法を定めたガイダンスに追加されることが決定しました。

 国外への航路を運航する船舶のバラスト水については、水中に含まれるプランクトンや菌類が遠方へ運ばれることによる生態系への影響などの問題が指摘されています。国際海事機関(以下、IMO)はこの問題に対し、2004年2月にバラスト水管理条約(※2)を採択しました。

 同条約ではバラスト水中の生物個体数などについて、排出基準値への適合性を確認するためのサンプリング・分析手法がガイダンスとして定められていますが、サタケは穀物検査手法などを応用することでより簡易な検査が可能になると考え、分析手法の研究を進めてきました。

 本年1月に開催されたIMO第2回汚染防止・対応小委員会において、サタケは独自に開発した新たな分析手法「Pulse(パルス) counting(カウンティング) FDA(エフディーエー)」を採用した、バラスト水生物検査装置の試作機についてプレゼンテーションを行い、既存の手法に比べ装置がコンパクトで、操作が簡単、短時間で測定可能といった評価を得ました。そして5月に開催されたIMO第68回海洋環境保護委員会において、「Pulse counting FDA」のガイダンスへの追加が承認されました。

 今後は、バラスト水管理条約の発効に伴い、寄港国検査を実施する各国官庁や船社における、バラスト水生物検査装置需要が増加すると見込んでおり、サタケとしても検査装置の完成および販売に向けた準備を進めていく考えです。
(測定原理の詳細は別紙を参照)

(※1)バラスト水...船舶の復原性を保つための重しとして船内に注水される海水。積荷の積載が少ない場合に船内へ取り入れ、積荷の積載が多い場合に船外へ排出する。
(※2)バラスト水管理条約...正式名称は「船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約」。2015年4月時点での批准国数は44か国、商船船腹量(批准国が所有する商船の積載量総計の、全体に占める割合)は32.86%で、条約発効要件の商船船腹量35%を満たしていないため未発効。

以上

別紙

Pulse counting FDAによる測定原理

 サンルを測定容器に入れ、染色剤を添加し、生物を染色します。染色後、回転子でサンプルを撹拌させながら励起光(※3)を照射し、検査部分を通過した生物の蛍光を検出器で連続的に測定します。得られた信号がしきい値以上ならば生きた生物としてそのパルス(信号)数を計数します。
 計数したパルス数と、サンプル中の生きた生物個体数とは、右下図のように比例します。そのため、得られたパルス数より、検体中に含まれる生物数を推定することができます。

(※3)励起光...対象物から蛍光を発生させる元となる光。今回の場合、青色の光を照射すると緑色の蛍光が放出される。




(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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