経営関連
2014.02.05
2014年2月5日
記念
サタケグループの生産部門を受け持つ「佐竹鉄工株式会社(代表取締役:佐竹利子)」は、本年で創業50周年を迎えます。穀物調製加工機械の量産工場として創業した同社は、時代の変化に合わせてライン生産から1台づくりの工場へ転換、さらにGABAライスなどの食品製造も行う複合的な生産拠点へと、進化を遂げてきました。これからは六次産業化・循環型農業を実証する、地域循環型事業モデルの基幹工場として、活躍してまいります。
佐竹鉄工は1964年(昭和39年)に社員75名で創業しました。これは当時、佐竹製作所の専務取締役であった佐竹覚(サタケ3代目代表)が、量産化による生産効率向上を目指して工場建設を進めたものです。この年は、サタケが日本初のカントリーエレベーター3基を受注した年でもあり、まさに稲作機械化体系が確立されゆく黎明期でした。
創業後しばらくは仮設工場で操業し、1969年に現在の地に工場が完成、実質的な操業を開始しました。覚が予見した通り穀物乾燥機の需要は順調に伸びてゆき、1975年には農家用穀物乾燥機の生産台数が日産80台に達しました。翌1976年には、従業員数も225名を数えるまでに規模が拡大しました。
さらに生産改革プロジェクトを発足させ、生産効率の向上を図った矢先の1979年、佐竹鉄工は塗装工場火災のアクシデントに見舞われます。しかし創業以来の窮地に社員一人ひとりが奮闘し、協力工場の力も借りながら何とかこの危機を脱し、さらに設備を増強して拡大を続ける市場の要求に応え続けました。需要に対し生産が追い付かず、製品の完成を待つトラックがずらりと列を成していた、というエピソードも残っています。
ところが1998年頃から再び危機に見舞われます。バブル経済崩壊の煽りを受けて農業機械の需要も低迷を余儀なくされました。そのためサタケグループとして生産体制を見直し、穀物乾燥機や籾摺機など量産機のライン生産は東北佐竹製作所に集約し、佐竹鉄工は農業施設や精米工場向けの大型機械を生産する、「1台づくり」工場へと転換することとなりました。
量産工場の時代、従業員は分業化された各工程でいかに効率よく正確に同じ作業を繰り返すかが求められましたが、1台づくりの工場では1台1台が異なる多種多様な製品を生産するため、一人が受け持つ工程も多岐にわたります。一人ひとりが多能工化することが求められ、図面を読み解く能力もこれまで以上に必要になりました。生産方式の転換により、全社員が根底から仕事のやり方を変えざるを得なくなりましたが、そのことで社員一人ひとりのスキルは向上していきました。
2012年からは、初めての食品事業となるGABAライスの製造を開始しました。これはサタケグループとして打ち出した「食を通してもっと元気な人を創る」「持続可能な農業を実現する」というビジョンを具現化するものであり、これからは六次産業化・循環型農業を実証する、地域循環型事業モデルの基幹工場としての役割を果たしていくことになります。佐竹鉄工がその役割を担う理由の一つとして、その立地を考えた場合に稲作、畑作、果樹、畜産など多様な産業が集積する東広島市豊栄町という環境が非常に適している、ということが挙げられます。
現在、佐竹鉄工で製造されたGABAライスは、おむすびのGABA西条店・秋葉原店の各店舗へ供給されているほか、GABAライスを製粉したGABA米粉が、東広島市河内町の農事組合法人ファームおだへ供給され、そこでパンに加工されたものがGABA米粉パンの店「パン&マイム西条店」にて販売されています。
佐竹鉄工の特徴は、自社で製造した機械を自社で据付工事をし、その設備でGABAライスの製造を行っていること。全てを知り尽くしているがゆえに、何かあってもすぐに対応でき、一方では食品製造で学んだことを機械製造に活かすこともできます。このような相乗効果も最大限に活用しながら、今後は1台づくりの機械製造と食品製造事業が2本柱となることを目指していきます。
現在佐竹鉄工では工場施設の整備が着々と進められています。2013年12月には事務・厚生棟のリニューアル工事が完工しました。今回のリニューアルにあたっては、部署間の壁を取り払うべく、総務課、管理課、技術課、生産2課をワンフロアに集めました。物理的な壁を無くしただけでなく、繁忙期には部署を超えて応援する態勢としたほか、月1回昼休みの時間を活用した誕生日会も定例化しており、以前と比べて社員間のコミュニケーションが活発化したと感じています。
また2012年11月には、佐竹鉄工として初めて「家族工場見学会」を開催しましたが、参加した家族からは「職場の雰囲気に触れることができ良かった」などの声が寄せられ、大変好評でした。取締役工場長の村若哲磨は「ますます多様化する事業展開を確実に行っていくためには、一人ひとりの能力アップが欠かせません。今後もコミュニケーションを大切にし、一人ひとりが最大限の能力を発揮できる、フラットで風通しの良い職場環境を築いていきます」とコメントしています。
さらに、工場の生産設備についても順次改修する計画が立てられています。現在の工場レイアウトや生産システムを見直し、1台づくりへ最適化することにより、これまで以上にお客様の求める品質・納期・コストに対応できる体制づくりを進めていく、このことが今後の50年を展望して、その土台作りとしてまず取り組むべき課題の一つです。
佐竹鉄工は、サタケグループの一員として新たな役割を担い、時代の要請に応えるべく「挑戦」を合言葉に今、次なる50年への一歩を踏み出そうとしています。
以上