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新品種を旗頭に、三重米ブランドの向上を目指す

2013.08.26

2013年8月26日

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新品種を旗頭に、三重米ブランドの向上を目指す

― 三重県内・精米工場の取り組み ―

 20年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮。これに合わせて三重県は観光キャンペーン「実はそれ、ぜんぶ三重なんです!」をスタートさせた。近畿日本鉄道は観光特急「しまかぜ」をデビューさせ、その人気は高まっている。松阪牛や伊勢茶、伊勢えびなどの豊富な特産品も、三重県の魅力を一層引き立てている。そんな中、三重県では米処としても新たな動きが見られる。その1つが、昨年より試験的に栽培・販売が始まった新商品「結びの神(品種名:三重23号)」。条件をクリアした、選ばれた農家だけが生産する新しい米だ。従来のブランドである三重コシ、伊賀コシと並ぶ新たな柱として育成したい、そんな思いを共有する精米工場においても、新たな取り組みが始まっている。

JA全農みえパールライスセンター

JA全農みえパールライスセンター 精米工場外観

 JA全農みえパールライスセンター(三重県津市戸木町4276-4)は、三重県内の系統組織で扱う米の精米加工を担う拠点。近年は産地精米ブームもあり、各JAで設備する小型精米機での産地精米が増えていた現状があったが、今年度からは各JAからの受託精米を積極的に請け負い、精米加工を集約する方針を打ち出した。

 その変化をもたらした要因の一つは、新しい精米設備の導入にある。従来のラインは、ハイコンパス精米機2ラインと小口専用ラインの3ラインであったが、更新時期が来ていたことと、今後の展開を見据えて新しい精米機への入れ替えを決めた。精米機の選定にあたっては各社の製品を比較検討したが、効率の良さを考えてサタケの竪型精米機「バーチミル」を選択し、まずはハイコンパス1台をバーチミルの5t/hタイプと入れ替えることとした。

バーチミルVTC050A

 新しい精米機導入後は、ロット切替時の空運転時間が約2分と大幅に短縮され、全体で見ても生産効率が大きく向上した。また最少150kgから精米できるため、小ロット専用ラインは廃止し、バーチミル1台で通常のロットも小ロットも、兼用で対応できるようになった。それとともに生産アイテムも見直し、以前250くらいあったアイテムを約半分まで整理した。

 そうして生まれた余剰能力を活かし、各JAからの受託精米を強化していく方針を決めた。そのことでより計画的な生産を行うことができ、工場の稼働率も向上する。各JAにとっても、品質面で安定した米を消費者に供給できる、安心感につながっている。「各JAとの関係を非常に大事に考えており、今まで断っていたような小ロットの受託精米も積極的に取り込んで、強固な信頼関係を築いていきた」と、パールライス製品課・曽根成好課長は意気込む。

パールライス製品課・
久保拓生氏

 実際に据え付けた工場レイアウトを見ると、とてもコンパクトに収まっている。不要となったタンク群を撤去したこともあり、スペースに余裕が生まれた。「カバーを開けるとすぐ精米部へアクセスでき、メンテナンスも非常にやりやすい」と、パールライス製品課・久保拓生氏が語るように、機械本体の構造とも相まって、清掃・メンテナンスに有利な環境となっている。

 また従来の精米機は、オペレーターのさじ加減で細かな調整ができる半面、スキルの差が製品の品質に影響を与えてしまう心配があった。バーチミルでは品種ごとの設定をメモリーに記憶させることができるため、タッチパネル式の簡単操作で誰でも同じ設定を呼び出して精米できるので、製品品質の安定にもつながっている。

 三重県の新品種「結びの神」については「生産している農家の技術力が非常に高く、品質がすこぶるいい。三重米全体の底上げにつながれば」と、曽根課長は期待をにじませる。パールライスセンターでは、残る精米機も年度内にはバーチミルに入れ替える予定としているなど、この気運の高まりにあわせて工場設備の改善を図り、さらなる効率アップを目指している。

株式会社ミエライス

(株)ミエライス 精米工場外観

 株式会社ミエライス(三重県津市庄田町1957)は、三重県内最大手の精米卸。「おいしさへのこだわり」「安心・安全の追求」「お客様ニーズへの対応」「社会の一員として」の4つを会社の姿勢として掲げている。その理念を体現するため、また生産効率・歩留り向上やコンタミ対応・トレサ対応などのため、時代に即応して随時設備の更新・改修を積み重ねてきた。

 「今やらなかったら将来もできない」と強調するのは宮木雅司取締役工場長。近年の厳しい市場環境の中にあっても常に設備整備をたゆまず続けてきたのは、歩みを止めては生き残れないという危機感からだ。昨年は新たに設備投資の5か年計画策定したが、その後の状況を勘案し今年度については2年分前倒しで実施することとした。その内容が精米ラインと包装ラインの更新だ。

バーチミルVTC050A(左)とVTC025A(右)

 精米ラインについては、従来ニューコンパス精米機3ラインと小口専用の1ラインの4ライン構成だったが、このうち小口ラインを廃止、ニューコンパス1台を新型精米機バーチミル5t/h、2.5t/h各1台と入れ替えた。この2台のバーチミルは1つのラインの中に並列して設置されており、ロットの大きさによって切り替えるという、小ロットにも対応した兼用ラインとなっている。さまざまなニーズに対し、従来よりも柔軟に対応できる態勢だ。

 新しい精米機に期待したのはまず省エネ。本体自体の省エネ設計に加え、切り替え時間の大幅削減により無駄なアイドル運転が削減されたため、電力消費の削減効果については満足できる果が得られた。またロット切り替えが早いことも魅力で、実際稼働してみると従来は1日6~7ロットの切り替えが限度であったが、バーチミルでは10~12ロットまで生産できるようになった。小ロットであっても効率よく生産できるため、従来の常識にとらわれない製品開発も可能となる。今後は、残る精米機も順次バーチミルに更新していく計画だが、そのことによる生産効率のさらなる向上と、現在検討している勤務体制の改革により、時間外労働が大幅に削減されることも期待している。

長谷川靖 代表取締役社長

 もう1つは包装ラインの改善だ。最終仕上げ選別のため、4ラインあるパッカーの直前にピカ選GRANDを1台ずつ追加した。そのため、より一層の自信を持って製品を提供できるようになった。さらに今年度内には包装ラインのゾーンニングも実施し、よりクリーンな環境づくりを進めるほか、ロボット化により生産効率の向上を図る計画だ。

 「社員の手が空いた分、新しい仕事に取り組める」と話すのは長谷川靖代表取締役社長。設備増強により業務の効率化を図り、それを営業力、企画力の強化につなげ、経営体質を強くしていく。長谷川社長を先頭に全社で目指している企業像がそこにある。

「結びの神」キャップ付
小型袋

 ミエライスは子会社として、物流部門を自前で持っている。自社の商品を直接お客様の元へ届けることで、顧客の声をダイレクトに拾うことができ、スピーディーに対応できる。これがミエライスの強みの1つだ。今回生産設備が小ロットにも細かく対応したことで、営業面においても「お客様からの要望をより細かく聞くことができる(営業部・久保雅則課長)」と、その効果を期待している。

 実際に新たな商品開発の事例も出てきた。例えば新品種「結びの神」の1kgスパウトパウチ(キャップ付小型袋)。今はPRを兼ねて試験的に販売しているものだが、このような商品も新しい生産体制があったればこそ実現した商品だ。これまで取り扱いのなかった土産物店などへも、販路の拡大に力を入れている。まさに生産工程の改善が新たな商品開発販路開拓につながっている好例といえそうだ。



以上

(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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