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六次産業化と複合経営を柱に強い農業を育成

2012.07.23

2012年7月23日

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六次産業化と複合経営を柱に強い農業を育成

― JAあきた白神カントリーエレベーター ―

 乾燥調製はもとより精米、無洗米加工、米粉加工までも視野に入れた六次産業化の取り組み。稲作を基盤に「ねぎ」「山うど」「みょうが」などの戦略作物を組み合わせた複合経営。JAあきた白神(秋田県能代市富町2-3)は、新たに建設したカントリーエレベーターを水田農業の拠点とし、これらの方策を総動員して持続可能な力強い農業の育成に取り組んでいる。

JAあきた白神カントリーエレベーター

 人類共通のかけがえのない財産である世界自然遺産。秋田県・青森県の県境にまたがる白神山地は、知床・屋久島などとともにこの世界自然遺産に登録されている。約8000年前に形成されたという広大なブナの原生林は、人為的影響を受けず今日までその姿を伝える、世界的にも貴重な財産ともいうべきものだ。
JAあきた白神は、その白神山地の懐に抱かれた、自然の恵み豊かな町・能代市と藤里町からなる、農産物の宝庫。主産品である「あきた白神米」のほかに、「白神山うど」「白神キャベツ」「白神ねぎ」「白神みょうが」などの地域ブランド野菜の生産が盛んだ。

袴田英明 代表理事組合長

 米価が下落を続ける昨今の状況のもとでは、「米オンリーという考え方では成り立たない」と話すのはJAあきた白神の袴田英明代表理事組合長。稲作を基盤にしながら、野菜を組み合わせた複合経営により農家の所得向上を図る、ということをJAの方針として掲げている。そのための施策として、ねぎの育苗施設を整備するなど、積極的な投資も行ってきた。その上で大切なことは「米をできる限り省力化して、余った労働力を他の作物の栽培に活かすことだ」と、袴田組合長は強調する。米の収穫から乾燥調製までの作業を個々の農家で行う場合には、それなりの負担がのしかかる。これまでは、設備機械を揃えている大規模農家にそれらの作業を集約する、ということが可能であった。そのため、JAとしては大型の施設を持たないという方針でやってきた。

乾式集塵装置のロータリー式フィルター

 しかし近年は農家の高齢化が進みリタイヤする生産者も出てくる中で、全てを農家任せでやっていこうとすると立ち行かない、というように状況が変化してきた。「JAがリーダーシップをもって、生産者の負担を軽減できるよう、施設の整備をしていく必要がある」そう考えるにいたり、乾燥調製・集出荷の拠点としてJAあきた白神カントリーエレベーター(以下CE)の建設を決断した。

 やると決まれば後は一気に突き進む「亥年生まれ」の組合長。若手職員を集めてプロジェクトチームを立ち上げ、建設計画が始動した。その道のりは決して平坦ではなかったが、組合長のリーダーシップと職員の団結で幾多の困難を乗り越え、実質2年弱という異例のスピードでCEの建設を成し遂げた。目に見える資産としてのCEはもちろん、このプロジェクトを通して「若手職員の育成において大きな糧を残すことができた」と袴田組合長は振り返る。

営農企画課・佐藤和芳課長(左)と
能代営農センター・菅原達郎氏(右)

 同CEは米代川を臨む能代工業団地内に立地しており、能代市のほぼ中心であるため利便性が非常に良いのが特長。逆に騒音や排水に関して制約が多く、設計には工夫を要した。最も特徴的なのが乾燥機などから出る粉塵を集める集塵装置だ。一般的に大型乾燥調製施設においては湿式集塵設備が主流であるが、同CEでは排水に関する制約をクリアするために乾式のものを採用した。乾燥機から集められた排気は一旦、粗粉塵を沈降させて取り除いた後、円筒形のロータリー式フィルターを通して微細な粉塵を取り除き、施設外へ排出される。フィルター表面の粉塵は、大型の掃除機が定期的に吸引するため、目詰まりすることはない。このような工夫で、排水を全く出さない集塵が可能となった。「厳しい制約のおかげで、結果的に環境に優しく、ランニングコストも低減できる設備を造ることができた」と、営農経済事業本部・営農企画課の佐藤和芳課長は胸を張る。

無洗米製造装置「テイスティ ホワイト ミニ」

 同CEが完成した今、「今後の展開を図る上での基盤ができた。これをどう活かすかが今後の課題」と語る組合長。つまり収穫後の乾燥調製作業を集約して受け持つことで、農家の負担を軽減できるようにはなったが、これをさらに農家の収益向上につなげるあきた白神米の販売戦略、またブランド野菜との複合経営の確立に向けた戦略が必要不可欠である。

 同JAでは、あきた白神米を校給食に取り入れてもらうなど地産地消の取り組みや六次産業化に向けた取り組みにも力を入れている。それを可能にするための小口精米ユニットや無洗米製造装置「テイスティ ホワイト ミニ」も同CEには備えられている。加えて米粉製粉機も備えており、サンプルとして米粉を商工会議所、菓子製造業者、商業高校などに配布し、新たな商品開発につなげようとしている。また大豆専用の乾燥調製精選設備が併設されており、光選別機「フルカラーベルトソーター」によって品質の高い大豆を出荷できる体制が作られている。ブランド野菜の生産拡大についても、例えば白神ねぎについては周年出荷体制を整えるなどして販売額は年々伸びており、産地形成が進んでいる。

光選別機「フルカラーベルトソーター」

 六次産業化と複合経営を柱に力強い農業を育成する。また自然との共生と持続可能な地域づくりを目指した、未来志向の農業を構築する。豊かな地域の特色を活かした「白神」ブランド構築へ向けた取り組みが今、着実に進められている。

(了)






参考

JAあきた白神カントリーエレベーターの概要

  • 事業名 :食料自給率向上・産地再生緊急対策交付金
  • 事業年度:平成22年度(補正)
  • 事業主体:あきた白神農業協同組合
  • 所在地 :秋田県能代市扇田字扇渕8番3
  • 施行管理:全国農業協同組合連合会東北広域施設事業所
  • 設計施工:株式会社サタケ
  • 工期  :着工 平成23年8月24日、竣工 平成24年3月29日
  • 対象作物:水稲(対象面積450ha)、大豆(対象面積300ha)
  • 建築規模:機械棟延床面積1,084m2、付属棟延床面積44m2
  • 敷地面積:14,279m2
  • 貯蔵能力:3,000t
  • 総事業費:11億3,500万円
    (うち国庫補助金4億9,950万円、能代市補助金5,700万円、藤里町補助金1,300万円)

(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
※ニュースリリースの内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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