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2成分減農薬で安全・安心な米をアピール

2012.03.26

2012年3月26日

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2成分減農薬で安全・安心な米をアピール

― 温湯消毒で存在感を示すJAしもつけ種子センター ―

 JAしもつけ種子センター(栃木県栃木市高谷町284)がこのほど完成し、2月より稼働を開始した。業務用米として根強い人気のある「あさひの夢」を主に生産する同JAは、新・種子センターが生み出すメリットを最大に活かし、「しもつけ産あさひの夢」を業務用米の中でも存在感のあるものに育てていくことを目指している。JAしもつけの戦略と取り組みについて取材をした。

JAしもつけ種子センター外観

 栃木県の南部に位置するJAしもつけ(組合長:落合靖氏)は、栃木市(西方町を除く)、壬生町、岩舟町の1市2町ら構成されている。管内の中央部から東部にかけて関東平野の平たん地が広がり、水田・畑作地帯を形成、また思川、永野川、巴波川、渡良瀬川といった河川による豊富な水資源に恵まれ、地区内の水田率は81.4%、中央部においては90%を超える。
 管内は栃木県奨励品種である「あさひの夢」の主産地。一等米比率が高いことに加え価格が手ごろなことから、業務用途として人気が高い。食味の特徴は粘り気が少なく、丼物などとの相性は抜群だ。「まとまった量の均質な米を安定的に供給できる産地はそんなに多くはない」と話すのは、種子センター設立時にJAしもつけ営農部部長を務めていた大橋好一氏(現在は監査室室長)。その言葉からは、業務用米市場から多くの支持を得ていることに対する自信がうかがえる。

JAしもつけ・大橋好一氏

 同JA管内に新たな種子センターの建設計画が持ち上がったのは8年ほど前。合併前の旧JA岩舟町が所有していた種子センターが老朽化し、更新時期となったのがきっかけだった。2003年3月に周辺の4つのJAが合併して新生JAしもつけが発足、それとともに新・種子センターの本格的な準備がスタートし、2010年度の補助事業として建設が決まった。
 建設にあたり苦心したのは場所の選定。交通の便が良く、余裕をもった広さがあり、作業者にとって使い勝手の良い場所、という条件で候補地探しが始まった。いくつかの候補地が挙がっては却下となる中で、ようやく現在の場所を確保することができた。同JA管内のほぼ中心であり、栃木市の中心部からもほど近く、利用者にとっても分かりやすく認知してもらいやすい場所だ。「カーブしている道路のコーナー部分にあり、どちらの方向から来ても視認しやすい」と話す大橋部長も、思いどおりの場所に建設できたと感じている。

連続式種子温湯消毒設備

 場所を確保し、いよいよ新しい種子センターのプランについて、詳細の検討が始まった。業務米の産地としてより存在感を高めるために、何らかの差別化を図っていきたい。その方向性に合致するものとして「温湯消毒」を導入することは、自然な流れだった。栃木県下においてはすでにJAなすの等で温湯消毒設備が稼働している実績があり、その評価はJAしもつけ関係者にも周知のこととなっていたからだ。
 何よりも魅力的なのは、薬液消毒から温湯消毒に切り替えることで、農薬の2成分を削減できることだ。安全・安心の米づくりを考えるとき、農薬の削減は大きなテーマだ。この2成分を削減することで「外食産業などの実需筋へ、安全・安心を強くアピールできる」と胸を張る大橋氏は、大きなセールスポイントとなることを確信している。また薬液が不要なためコスト削減につながり、「より安く供給できれば競争力が増す」というメリットも感じている。さらに、温湯消毒のほうが発芽が2~3日早く、苗の活着も良いと感じている大橋氏は「良い種が良い苗となり、作柄も良くなる」と、多面的な効果への期待をにじませる。

籾専用ソフトを導入したピカ選GRAND

 温湯消毒を行う場合に重要なことは、消毒後の種籾が細菌に感染する「2次感染」をいかに回避するかということ。同種子センターの建屋は、原料荷受区域と消毒前の精選工程区域、そして温湯消毒工程区域の3つの区域が壁で仕切られており、2次感染のリスクを大幅に低減させる構造になっている。
 また、光選別機「ピカ選GRAND」による原料籾の精選も大きな特長と言える。同センターに設置されている「ピカ選GRAND」には、専用のソフトを導入することで籾専用として性能を発揮できるよう設定されている。特に良品籾と同形状である「稲こうじ」を除去するには非常に有効だ。

出荷を待つ「あさひの夢」消毒種子

 同センターは2月22日、連続式温湯消毒設備の初めての本稼働を行った。当面は従来の薬液消毒種子も平行して供給することになっており、今年度についてはJAしもつけ管内へ約10トンの温湯消毒種子を供給する。今後は生産者への周知を徹底し、温湯消毒の比率を高めていく考えだ。また「栃木県内の他のJAにも供給できる体制を確立していきたい」と、大橋氏は考えている。
 そして減農薬という強みを積極的にアピールすることで、「しもつけの米は安心して食べられる」という認識が広く定着し、「しもつけ産のあさひの夢が欲しい」と引っ張りだこになるくらいのブランドに育てていく、というのが将来への展望だ。
 あさひの夢の栽培にあたって同JAでは、専用の肥料である「JAしもつけ満天プレミア」を開発し、種籾とともに普及に努めているが、これが食味の安定に貢献している。今後も業務用途に照準を当て、安全で美味く粒の揃った「売れる米」づくりに取り組んでいく。

(了)

(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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