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宮崎県JA児湯の「どげんかせんといかん!」

2008.07.08

平成20年7月8日

ユーザー紹介

宮崎県JA児湯の「どげんかせんといかん!」

--- 良いものを作り、当たり前のことを当たり前に実行する ---

 「どげんかせんといかん!」。このフレーズを聞けば誰しもが宮崎県を連想するであろう。今や全国的に有名になった東国原知事の所信表明演説での言葉であるが、やがてその思いは宮崎県を活性化する行動につながり、県民の多くの支持と共感を呼び起こした。宮崎県は温暖な気候に恵まれた全国有数の農業県であるが、その推進役であるJAも「どげんかせんといかん!」という気概で農業の振興に努めている。今回は県のほぼ中央部に位置する「JA児湯(こゆ)」の農業に対する考え方と取り組みを紹介する。

広大な農地と温暖な気候

JA児湯 金田清夫代表理事組合長

JA児湯 金田清夫代表理事組合長

 JA児湯(宮崎県児湯郡高鍋町大字北高鍋99-1)は、昭和50年に児湯郡内の新富町、高鍋町、木城町の3農協が合併して発足した。この地域は宮崎県沿岸地帯のほぼ中央部に位置しており、地形は尾鈴山岳地帯を除けば概ね平坦地で、小丸川及び一ツ瀬川流域に広がる沖積水田地帯と、標高60―100mの黒色火山灰土壌の畑作台地に区分される。台風襲来など不利な条件もあるが、広大な農地と温暖・多雨・多照という気象条件に恵まれ、「食糧生産基地宮崎県」としてのJA児湯の役割は大きく、宮崎県農業の中核を担っている。特徴として畜産・施設園芸など施設型農業が多く、最近では水田営農活性化対策、畑作営農改善の推進等により品目・作型の多様化が見られる。また、土地の高度利用と収益性の高い作目の積極的な導入等で、生産性の高い農業への脱皮が急速に進められている。主な生産品は、米と施設園芸が50%、畜産が50%という割合であり、米はコシヒカリ、野菜はピーマン、キュウリ、トマト、キャベツ、ゴーヤ、ズッキーニ、メロンなど多種にわたる。また宮崎牛は昨年の和牛コンテストにおいて7部門で1位の快挙を成し遂げており、"みやざき地鶏"とともに全国的に知名度が高まっている。

どげんかせんといかん!

宮崎県は施設園芸の割合が高い

宮崎県は施設園芸の割合が高い

 「宮崎県人は温厚な性格」と語るのは、JA児湯の金田清夫代表理事組合長(以下、「組合長」)である。その穏やかな物腰から宮崎県人の人柄の良さがうかがえるが、農業に対する思いは熱く、日本農業の現況を憂い、改善しなければならないという思いがひしひしと伝わってくる。「東国原知事は宮崎県の基幹産業である農林業の先頭に立ってトップセールスをしている」と語る組合長であるが、「どげんかせんといかん!」という共通した認識でJA児湯の運営に当たっている。

 今、国内では次代の担い手確保の一環として認定農業制度が実施されているが、組合長は「認定農業には疑問が残る。土に親しむ人は全てが担い手だ」との考え方を持っており、認定された農業従事者だけが農業を行うことは、日本農業の繁栄や利益向上につながらないのだという。その根底には、「農業という分野にも競争が必要であり、かつ、農業は家族的なものである」という持論があるのだ。また、最近の減反政策の見直し論には賛成の意を示しており、「結局のところ良いものを作る人が残り、競争によってそれが生まれる」と語る。「今後、世界的な食料不足から当然の帰結として国内自給率が上がるだろう。その結果、良いものを作れば所得が上がり、所得が上がれば後継者が生まれてくる。現在はそのような競争が無いので遅れている」という言葉は重い。一方で「家族的」とする農業については、それが無かったら地域の崩壊につながるのではないかとの危機感を持っている。地域の農家が力を合わせて農業に従事しつつ、良いものを生産し消費者に提供するという信念と競争が、日本農業の進むべき道であると組合長は説く。

当たり前のことを当たり前に

「土に親しむ人は全てが担い手だ」

「土に親しむ人は全てが担い手だ」

 「良いものを作り競争力をつける」という組合長の思いは奇策でもなんでもなく、まさに正道と言えるものであろう。それは食品に対する「安全・安心」についての考え方にも如実に表れている。「最近、安全・安心という言葉がやたら多く使われるが、本来、安全・安心と付ける必要はなく当たり前のことである。JA児湯では当たり前にちゃんとやっている。安全・安心という言葉が使われるのは、いかにニセモノが多いかということだ」(組合長)。当たり前のことを当たり前にやるという姿勢がJA児湯の全てを表していると言っても過言ではないだろう。

 一方で、これからの農業をどう進めるかという面には苦慮している。昨今の燃料高、肥料高、物材高など農業を取り巻く環境は厳しい。「省エネも限界に来ており、この状況が続くと施設園芸が将来も可能かどうか分からないし、露地物も考えなければならないかもしれない。ここまで来ると国の政策的なことも必要」(組合長)と食糧基地宮崎県でさえ厳しい状況を迎えている。

光選別機が大活躍

新富ライスセンター

新富ライスセンター

 ところでJA児湯には新富ライスセンターがある。昭和40年代にライスセンターが建設されたが、3農協合併後にドライストアーとして生まれ変わった。その後、ライスセンターの老朽化対応、品質向上、能力向上、早期米の販売強化などを目的に平成19年にリニューアルされ、粗選機:1基、荷受計量機:1基、遠赤外線乾燥機:ソラーナ45石×19基、全自動籾摺機:1基、光選別機:マジックソーター2基、出荷計量機:1基、籾殻タンク:2基などが設置・更新された。中でもマジックソーターは、この地区でカメムシの被害が多いことの対策として導入され、等級アップが期待された。これは農薬散布量を減少させることによるカメムシ被害の増加への対抗策であった。

マジックソーターが大活躍

マジックソーターが大活躍

 ところが平成19年は、その目的外でマジックソーターの威力を確認することになった。というのも、平成19年は台風や高温障害により乳白米が大量に発生し、JA児湯管内では規格外が80%を超えるという甚大な被害であった。ところが、新富ライスセンターに持ち込まれた米はマジックソーターによって乳白米選別され、逆に3等米が約80%という結果になりその効果が十二分に証明されたのだ。早場米地区であるJA児湯では7月中旬から収穫が始まるが、農産園芸課の永友雅智係長は、「マジックソーターの選別能力の高さには大変満足している。今年は1等米を増やし、同時にガラス・木片などの異物混入を防ぎたい」と話す。

農産園芸課 永友雅智係長

農産園芸課 永友雅智係長

 最後に組合長は今後のJA児湯の取組みについて「農産園芸と畜産が均衡のとれた地域を守っていく。耕畜連携による畜産物づくり、野菜づくり、米づくりといった多品目のバランスが大事である」と語った。そこには真摯に農業に取り組む姿勢と、「食糧生産基地宮崎県」の中核をなすJA児湯の強い矜持を感じた。

遠赤外線乾燥機ソラーナ 全自動籾摺機 ライスセンター内

遠赤外線乾燥機ソラーナ

全自動籾摺機

ライスセンター内

以上

(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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