製品・技術
2008.02.14
平成20年2月14日
海外
サタケ(東広島市西条西本町2-30、佐竹利子代表)は、2005年にタイ国スラナリ工科大学へバイオマスガス化発電のテストプラントを納入した実績が認められ、同国向けのバイオマスガス化発電設備を2社から受注しました。2008年度から順次完工・稼動が予定されています。
サタケのバイオマスガス化発電設備 |
(1)A+POWER社(※1)向け
2008年4月着工、2009年2月完工予定。本設備の納入(設置)場所は、ワット プラバットナンプー(WAT PRABAT NAMPOO)(※2)という寺院で、総発電容量1,800kWのうち、1,500 kWをPEA(地方電力庁)に売電する計画です。受注金額は、約2億7千万円。
(2)タイウレタンプラスチック社(※3)向け
2基の導入が決定しており、1基は、生成されたバイオマスガス燃焼熱を利用して水蒸気を発生させ、合成樹脂などの生産に利用するもので、2008年8月完工予定。もう1基は、総発電容量900kWの発電設備で、自己消費のほかPEAへの売電を計画しており、2009年3月完工予定となっています。受注金額(合計)は約1億2千万円。なお、本設備はタイ国のガス化発電設備としては初めて、DOE(※4)に承認されました。
【※1】A+POWER社
エイズ患者を助け、かつ、自立させることを目的に設立されたバイオマスガス化発電会社。
【※2】ワット プラバット ナンプー(WAT PRABAT NAMPOO)
タイ国の首都バンコクから北西に車で約二時間半のLOPBURIにある寺院。DHARMARAKSA FOUNDATIONというエイズ患者救済基金による看護設備を運営しており、タイ国内のみならず世界的にもエイズ患者の救済をしているという理由で知名度が高い。バイオマスガス化発電設備導入後は、売電によって得た収益を施設に還元し、エイズ患者の病院、薬代、学校、宿舎等の費用に充てる予定。また、発電の原料である成長が早い木(ニセアカシア系)の植林とその販売による収益等により、患者の家族の雇用確保と施設の自立を目指している。
【※3】タイウレタンプラスチック社
合成樹脂、ポリウレタン皮をデザイン、製造販売する会社で海外展開も積極的に行っている。
【※4】DOE
DOEは、「Designated Operation Entity(指定運営機関)」の略称。京都メカニズムのCDM(クリーン開発メカニズム:Clean Development Mechanism)に基づく温室効果ガス排出量削減プロジェクトの有効化審査・検証を行う機関。
サタケのバイオマスガス化発電の取組みについて
サタケは2002年にインド科学院とバイオマスガス化発電設備について技術提携を行ない、日本を含めたアジア数ヶ国での独占販売契約を結びました。2004年には、社内及び、広島環境研究所にテストプラントを納入、2005年にはタイ国スラナ工科大学にテストプラントを設置しました。サタケは以前より、バイオマスの有効活用に積極的に取組み、原料調達に有利な海外(特にアジア)を中心に実現性を検証してきました。現在は、バイオマスガス化発電設備だけでなく、バイオマスの固形燃料化を含めたシステムの構築を考えています。現在同方式のプラントは、海外で35ケ所、日本国内では2ケ所のテストプラントが稼動中です(日本では、サタケ広島本社内と広島環境研究所に導入)。サタケは、これからもバイオマス施設を活用して環境にやさしいエネルギーの供給を図るとともに、地球温暖化の防止に積極的に取り組んで参ります。
バイオマスガス化発電設備(A+POWER社設置タイプ)
1.仕 様
①ガス化炉方式:オープントップダウンドラフト方式(※5)のガス化炉
②発電容量:1,800kW
③燃料:木屑1,800kg/h
2.特 長
①高効率:電気に変換する熱効率が良い(約20%:一般(直接燃焼発電)には約10%)。本体の自己消費電力も低く、発電量の約15%(一般的には20%以上)。
②燃料の多様化:燃料は、籾殻・木屑・オガ屑・サトウキビの搾り粕・ヤシ殻・乾燥草・紙くず・コーヒー粕など多くのものが対象として挙げられる。
③クリーンなガス:オープントップダウンドラフト方式では、熱分解生成ガスが900℃以上の燃焼部を通過する。そのため、タールや酢液などの大部分が分解され、クリーンな生成ガスとなり、発電用エンジンに悪影響がない。
3.ガス発生原理
①発生ガス:発生する可燃性ガスは、主に水素ガス(H2)、一酸化炭素ガス(CO)、メタンガス(CH4)。
②発生原理:籾殻や木材などのバイオマスは、ガス化炉の上部より投入する。上から「乾燥→熱分解→酸化→還元」の反応が起こり、還元工程では水素ガス(H2)、一酸化炭素ガス(CO)、メタンガス(CH4)が生成される。
【※5】原料バイオマスが上から下に流れる縦型固定床のガス発生炉で、上部より乾燥、熱分解、酸化、還元の各層を形成し、還元層でガス化される。酸化層は900℃以上に達するため、得られたガス中には、タールやススが少ない特徴があり、ダイオキシンの発生がない。
以上
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(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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