ユーザー
2005.08.29
平成17年8月29日
ユーザー紹介
サタケは、農家用の循環型乾燥機誕生40年、揺動式籾摺機誕生30年を記念し、現在、『愛されて40&30年 日本のロングセラー サタケの乾燥機・籾摺機キャンペーン』を実施しています。このキャンペーンの記念として、日本各地のユーザーを訪問し、米づくりに対する思いや取組みなどについて語っていただきました。今回の訪問先は九州(福岡)です。
「生産者に対してきめ細かい配慮が必要」と渡辺氏 |
渡辺氏が経営する渡辺農産 |
「不良品がバッチリ取れて満足」と太鼓判を押す色彩選別機 |
渡辺氏(左から2番目)、永田氏(右)と従業員のお二人 |
乾燥から精米まで、生産者と消費者をつなぐ橋渡し
米穀店からスタートしたライスセンター
<ユーザープロフィール>
渡辺正一(わたなべ まさかず)氏 46歳
住所:福岡県
ディーラー:福岡クボタ二日市営業所 財津所長氏
福岡県南部に広がる緑豊かな田園都市、二日市。近郊には学問の神様として知られる菅原道真公を祀る全国天満宮の総本社、太宰府天満宮があり全国的に有名。筑紫野インターチェンジを下りると、料金所のすぐ左手に「渡辺農産」と書かれた建屋が目に入る。この地で米穀店を営む渡辺氏は、地域の要望からライスセンターを17年前にスタートさせた。「この地域は典型的な中山間地域で、ほ場整備率が非常に低い。ネコの額みたいな田んぼが多く、一日の収穫量が少ない。カントリーエレベータでは制約に対応しきれない生産者も多かった」と、この地域の事情を語る渡辺氏。「米穀店でありながら何か地域の手助けができないか。これからも米に携わっていく以上、農家の生産段階まで関わっていく必要があるのではないかと考え、ライスセンターを始める決意をした」と当時の意気込みを語る。この地域では、個人農家で乾燥機を持つ人は少なく、今では「渡辺氏がライスセンターをやめたら、ここら辺の農家はみんな途方にくれるよ」との生産者の声が多いという。集中した荷受には大量の籾コンテナで対応し、農家が刈り取った籾をすぐ回収するので、ヤケ米発生の心配もない。常に生産者の立場で考える渡辺氏のきめ細かな配慮は、湿式集塵機で周辺環境に配慮するなど、抜かりがない。
「農家を待たせず、すぐ田んぼまで籾を回収に行ったり、きっちりとした個別乾燥を行うなど、渡辺氏ならではのきめ細かなサービスが人気の秘密だ」と語るのは渡辺氏のライスセンター建設にあたり、専門的なアドバイスなど大きな役割を果たしてきた永田鎚雄氏。元JA全農ふくれんで施設課長を務め、多くのカントリーエレベータ建設に携わってきた、全国的にも有名なカトリーエレベータ導入のプロフェッショナルである。「40年前、サタケが初めてテンパリング乾燥機を発売したが、一大革命だった。当時、全農で私は米にも麦にも対応できる高性能な乾燥機を探していた。その時発売されたのがサタケのテンパリング乾燥機だった。高級すぎて一般農家の納屋に据え付けるようなものではないと思っていたよ。当時からサタケは海外に製品を輸出していたせいか、他社に比べ塗装など造りがしっかりしていたね」と当時を振り返る。米穀店を営んでいた渡辺氏だが、ライスセンターを建設するにあたって、米の乾燥機や籾摺機などについては分からないことが多かった。そこで助言を求めた先が永田氏だった。永田氏はテンパリング乾燥機の誕生以来、カントリーエレベータにサタケ製品の導入を勧めてきた。「サタケには100年以上、穀物を扱ってきた目に見えない蓄積がある。その背景を基に技術を積み上げて作られた乾燥機、籾摺機には絶対的な信頼がある。一つひとつ検証していくとやはりサタケが一番良くできている。人まねで作ったような製品にはない大きな違いだね。サタケなら安心できる」と信頼を寄せる。
「サタケが開発した揺動選別式の籾摺機はすごく普及したね。揺動選別を初めて見た時は、『これはすごい!』とみんなが衝撃を受けた」と当時の感動を語る渡辺氏。乾燥調製機械の中でも特に印象深かったという揺動選別籾摺機の登場。「水分や形に左右されない安定した選別ができる。みんな網しか思いつかなかった中でよく考えついたなと思った。また、あのくぼみの大きさとか形とか苦労して開発したんだろうね」と感心の声。また、「サタケの精米機はいい!ミルモアは名機だね!米穀店の間ではもう常識だよ。15年ぐらい使っているが機械は壊れないし、糠切れもよくキレイに精米できる。なにより中古市場でもサタケ製品は価格が高いのに売れている」と精米機についても太鼓判を押し、サタケ製品に信頼を置く渡辺氏と永田氏。「以前、色彩選別機の導入を考えている時に、サタケ以外のメーカーから『サタケと同じ価格で倍のチャンネルをつける』と言われたが、迷わず、『サタケ以外を買う気は全くない』と返事をした」という渡辺氏。今では当時導入したサタケの色彩選別機をフル活用している。「サタケの色彩選別機を通しているというのは一つの売りになる」という。「機械を導入する時は『高い』と思ったが、シーズンになると24時間使い続ける機械がほとんど。頑丈さはとても大事だ。少々のことではビクともしない。作りがしっかりしているよ。さすがサタケだね。今思えば安い!」とご満足の様子。
今では2人の従業員を抱える渡辺氏。これからは従業員のレベルアップにも力を入れていきたいそうだ。「オペレータも機械の歴史や稲作全体の流れなどを知っておかなくてはいけない。サタケは歴史も長く、技術の蓄積もあるメーカーだ。うちの従業員にもサタケの講習を受けさせて技能をより上げていきたい。また、操作やメンテナンスのマイスター的なものがあれば従業員に取得させていきたい」と語った。あくまでも米穀店からスタートしている渡辺氏。ライスセンターを経営しながら、米穀店としてのこだわりも忘れない。「麦やそばの原料を仕入れてライスセンターで精選して販売している。そのときに原料はすべて国産であることにポリシーを持っている。やはり安心・安全が第一だし、どこで作られたものかはっきり分かる"産地証明"にこだわっている。特に最近は健康や美容に穀物が注目されるようになり、ハトムギやそばの取り扱いが増えた。そばは手打ちそば店などに納入し、好評を得ている。今はサタケでも商品があるが、発芽することで栄養価が上がると言われる米のギャバに注目している。今後はこうした健康志向の製品開発・販売に積極的に取り組みたい」と抱負を語った。渡辺氏のプロデュースした"そば茶"、雑穀を集めた"八穀"は人気商品で、特に原料に穀物のエゴマを混ぜ合わせた"エゴマ石鹸"は「肌がすべすべになる」とリピーターも多い。乾燥から精米まで通して生産者と消費者をつなぐ渡辺氏。「これからは小型の無洗米設備を導入してみたい。また、これからも引き続き、生産者と消費者の声をたくさん取り入れ、経営に活かしていく。製品のバリエーションを拡げるなど、常に新しいことを試みたいね」と枠にとらわれない意気込みをみせた。
大型の乾燥調製機械はシーズン中にはフル稼働する |
大型の乾燥調製機械はシーズン中にはフル稼働する |
「きれいに精米できる」とご満足の遠藤氏 |
これからの農家は農業だけをしていたのではダメ
いろいろなことに興味を持って視野を広げないと
<ユーザープロフィール>
遠藤幸男(えんどう ゆきお) 38歳
住所:福岡県
ディーラー:福岡クボタ遠賀営業所 玉村所長
福岡市内と小倉のほぼ中間に位置する鞍手町。巨峰の栽培が盛んで、至るところにぶどうの直売所がある。また、水稲でいえば、10haクラスの大型農家が多く、全体の農家数は少ない。この地域で専業農家を営む遠藤幸男氏は、農協青年部の部長も務める地域では農業経営者のリーダー的存在だ。米作りはもちろん、機械や設備についても徹底的に調べて最善の方法を導き出す勉強家でもある。米・麦などあわせて48haを育てる。19haの夢つくしを5月初旬に、10haのヒノヒカリを6月中旬に、家族と従業員、パートを合わせた10人で田植えをする。8月下旬から9月上旬にかけて夢つくしを、10月上旬から中旬にかけてヒノヒカリを刈り取りするが、この時期は、本人、妻と父親の家族3人のみで出荷までの作業を行う。遠藤氏は乾燥から出荷までの作業を担当し、シーズン中は太陽が恋しくなるほど1日中、納屋の中で籾摺作業を行うそうだ。その合間には、出荷のための書類作成などの事務作業も行うが、全体の流れを常に把握するよう心がけているという。「秋の作業は一連の流れでつながっている。籾摺りでトラブルが起きれば、その前工程の刈り取り作業までもが止まってしまう。お米の品質を保つためにも、全体の流れを常に把握しておかなければならない」去年の夢つくしは非常によい出来だったが、その後に刈り取ったヒノヒカリは台風の被を受けた。「この地域は去年の台風による被害で、不良粒の除去に苦労した経験があるから今の農家は大なり小なり、色彩選別機に興味を持ってい。みんな農家のプロで、米作りではだいたいのことは試してきた。これからは青年部で色彩選別機の勉強になるような視察などをしたい」と色彩選別機の技術に注目する。
「1機40万円。1大会で2機は用意しなくちゃいけない」19歳からラジコンヘリに没頭したという遠藤氏。当時は年に2回、大会に出場していたそうだ。大手ラジコンヘリメーカーや日本チャンピオンとの親交も深い。今では大会には出場しないが、防除などで操縦とメカニックの腕が発揮される。「これからの農家は農業だけをしていたのではダメ。いろいろなことに興味を持って視野を広げないと。そして、そこから得られた人間関係を大事にしていろんな人と仲良くしておくこと。農業を行っていくうえで分からない事を教えてもらったり、効率的に作業を行うための情報を得られたりする事は何よりも重要なこと」と多方面からの情報収集の重要性を強調する。得られた情報を経営に活かす遠藤氏の米作り。特に機械の新製品情報はまめにチェックする。「サタケから6インチ籾摺機の自動ロールタイプが出ていたね」とメーカーのホームページは欠かさず確認。インターネットが普及してたくさんの情報が早く手に入るようになった。これを農業経営に役立てない手はない。経費をかけない所はとことん削るが、効率や品質を上げる技術を取り入れた最新機械はいち早く導入する。
乾燥調製機械は、父親の代からサタケを使っている。「機械を買うときは徹底的に調べるよ。インターネットで日本中のメーカーを調べることもするし、展示会も積極的に出向く。いろんなメーカーを調べたけど総合的に見てサタケは一番いい。色彩選別機で言えばワイパーが付いていて掃除が簡単だったり、設定が簡単だったり。価格は高いが、米の信頼性を考えればだんぜんサタケが良い。同じ能力でも価格が安い製品は、それだけ仕様が落としてあることが多い。つまりそれだけ米の信頼性が落ちる。買う側は、安いもの安いものと探す人が多いが、米の信頼性も落ちる事を認識しておかなくてはいけない。買うときだけではなく、買った後の事も考えて機械は選ばないとね」とサタケの良さを語る。また、「何でもそうだが、機械が良くても担当者の対応がお粗末だとダメだ。米づくりは時間が勝負。いざというときに聞いたりできる柔軟なアフターケアがメーカーや販売店の担当者には必要だね」とメーカー、販売店の対応も付け加えた。遠藤氏は知人にも積極的にサタケ製品を紹介するサタケファンであると同時に、機械の修理技能も高い。紹介した機械のトラブル時に自ら出向くこともあるそうだ。それでも解決しない時は販売店、メーカーの対応が重要となる。
米業界では、異物混入問題が取り沙汰され、生産者側としてはそこまでしないといけないのかとの声も多いという。しかし、遠藤氏は「自分は、とにかく何にでもこだわることが好き。コンタミネーション(以下コンタミ)防止も徹底的に行っていく。農家は米が食品であるという感覚を忘れてはいけない。設備などハードでコンタミ防止を図ることは簡単だが、それでは防止できない。肝心なのは作業者の意識、ソフト面だ。ちょっとした作業でも気をつかい、気軽に人に頼むようなことはしないようにしている」と語る。最近の業は元気がないと言われることが多いが、遠藤氏にその空気は感じられない。先の経営を考え、意気込みを語る遠藤氏。話を聞いていると農業の明るい未来が容易に想像できるほどだ。インターネットの活用など多方面から情報を集め、幅広い視野を持つとともに、広い人脈も大事にするよう心掛ける。時代に流されるのではなく、自分自身で農業を考えていく遠藤氏の姿勢。時代の変化に柔軟に対応するには遠藤氏のように幅広い情報収集がもっと重要になっていくだろう。
(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
※ニュースリリースの内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。