その他
2003.09.04
平成15年9月4日
さて、本日(9月4日)、東京高等裁判所は、株式会社東洋精米機製作所(以下、「トーヨー」という)が保有する「洗い米特許」2件※1を無効とした特許庁の審決を維持する旨の判決を下しました。
この事件は、昨年3月、特許庁が本「洗い米特許」を無効とする内容の審決をしたことに対し、トーヨーが審決の取消を求めて東京高等裁判所に提訴していたものです。
東京高裁は、本「洗い米特許」は「刊行物に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、無効である」とした特許庁の審決を全面的に支持し、トーヨーの請求を棄却しました。
今回の高裁判決で、米穀業界の多くを巻き込み、6年もの永きにわたって繰り広げられた「無洗米(洗い米)特許係争」に事実上の終止符が打たれることになりました。トーヨーには、最高裁判所への上告又は上告受理申し立て※2の道は残されていますが、本件の場合、原判決の法令解釈には憲法違反、最高裁判例等の違反がないことは明らかといえますし、原判決に法令解釈上の重要事項が含まれていたという事情もありませんから、トーヨーによる上告又は上告受理申し立てが受け入れられる可能性は極めて小さいと言えます。そして、上告又は上告受理申し立てが受け入れられなかった場合には、原判決は確定し、本「洗い米特許」の無効が確定します。これに伴い、ジフライス、スーパージフライス等に関して係属中の特許侵害事件におけるトーヨーの請求は棄却されることになります。
株式会社サタケ(代表:佐竹利子、所在地:東広島市西条西本町2番30号)は、このたびの判決を皆様にお知らせするとともに、これまでのご支援、ご協力に厚く御礼申し上げます。
(所感)
このたび、東京高等裁判所から本「洗い米特許」を無効とする判決が下されたことは、予想していたこととは言え、大変喜ばしく思っています。この判決は、サタケに与えられたというよりも、米穀業界全体に与えられたものであると考えます。本判決によって、無洗米を取り巻く環境に様々な影響を与えていた無洗米特許係争が収まり、必ずや市場の活性化につながるものと考えます。
トーヨーは、本「洗い米特許」の出願公開直後から、他社の無洗米や無洗米製造装置が将来、本「洗い米特許」に抵触するであろうという警告を始めました。そして、特許権取得後は自社(BG米)以外の無洗米製造装置を設置している米穀卸、並びに米穀業界団体や弊社などの無洗米製造装置メーカーに対し侵害訴訟を提起したり、度重なる警告行為を行ったりしてきました。
弊社は、業界の正常な姿への復帰と無洗米市場の健全な発展のために、洗い米特許係争が始まった平成9年から全力で対応して参りました。これまで、米穀業界を始め、多くの方々にご心配とご迷惑をお掛けしましたが、今後は業界の正常な発展と米の消費拡大に尽力する所存ですので、関係各位の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。なお、トーヨは、本「洗い米特許」の他に、「精製米」特許(特許第2897603号発明)の件が残っておりますが、既にお知らせ致しましたとおり、この特許にも特許庁で無効の審決が下されています。最終的には全て弊社側が勝訴するものと確信しておりますので、今後ともご理解・ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
敬具
※1 特許第2615314号(洗い米及びその包装方法)と特許第2602090号(洗い米の製造方法)
※2 最高裁が上告を受け入れるのは、原判決に憲法解釈の誤りその他の憲法違反がある場合(民事訴訟法312条1項)や、原判決に理由が付されていなかったり理由に食い違いがあったりする場合等(同法312条2項)に限られています。また、最高裁によって上告受理申し立てが受け入れられる場合も、原判決の法令解釈に最高裁判例又はそれに相当する高裁判例等に相反する判断がある場合や、その他法令解釈に関する重要事項を含む場合に限られています(同法318条1項)。
(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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