2023.06.23
2018年、当社は扁平精米を可能にする新型醸造用精米機を開発しました。量産化は困難と言われてきた扁平精米を実現し、開発・営業担当は歓喜しました。不可能を可能にし、世にないものを生み出した喜びと、新型精米機が酒蔵に導入されるであろう光景を夢見ていました。生産・営業体制を組み、市場への導入準備ができ、いよいよ「READY GO!」です。
だが、その希望は間もなく失望に変わりました。売れないのです。「良いものは売れる」という思いは空想に過ぎませんでした。なぜか?理由は一つではありませんでした。
(1) 扁平精米・新型醸造用精米機の知名度・認知度が低い
(2) 多くの酒蔵が扁平精米で酒を造ったことがなく、造っても売れるかどうか未知数である
(3) 扁平精米という名のイメージが良くない
(4) コロナ禍で酒蔵への訪問営業が制限された
などの理由で、一部の酒蔵を除いて新型精米機を導入しようとする機運が高まらなかったのです。そこで営業活動を見直し、広報活動にも力点を置きました。まずは、扁平精米というマイナスイメージからの脱却を図るため「真吟」と命名しました。さらに、若い女性広報部員を真吟の専任担当者に据えました。彼女は元々酒好きであるし(笑)、新たな市場を開拓するためにも若者や女性の観点から真吟を捉えることにしました。「READY GO!」から「LADY GO!」へ衣替えです。
彼女は、当社が殆どやってこなかったSNS(インスタグラム・ツイッター・フェイスブック)を駆使し、広く真吟の知名度・認知度を高める広報活動を行いました。併せて、日本酒関連のイベントや講演会などにも積極的に参加しました。これまでのBtoBからBtoCtoBへの転換を図りました。消費者(C)を喚起し、結果的に企業(B)に結びつけるという当社の造語ですが、2011年のGABAライス発売を機に広報活動の一端として行い始めた施策でした。それを真吟で本格的に実施したのです。
活動は徐々に効果を見せ始め、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに当社の醸造精米機が真吟を介して取り上げられるようになりました。酒蔵から自社商品に真吟の名前を使いたいという要望も増え、新型精米機の導入も少しずつ広がりを見せています。
ちなみに広報部員は全員ミドルネームを持っており、彼女は「JODY(ジョディ―)」と呼ばれています。よって、これから真吟はますます「JODY GO!」です。