2019.07.08
扁平足の人は、長く歩いたり立っていたりすると、"土踏まず"に痛みや疲れが出やすいと言われていますが、筆者もやや扁平なので何となく分かります。昔、横綱千代の富士の足裏をテレビで観て、扁平足とは真逆の美しい"土踏まず"にうっとりとした記憶があります(笑)。まあ、無い物ねだりの心情と言えばそれまでですが...。
"扁平"とは「凹凸が少なく、ひらべったいこと」と辞書にあります。扁平タイヤは何となくカッコいいイメージですが、扁平足、扁平顔、扁平コンジロームなど、どちらかと言えばあまり嬉しくない使われ方をしています。
ところが、この扁平が役に立つというか、立派な効果をもたらすこともあります。それが「扁平精米」です。一般に吟醸酒などの高級酒は酒米をかなり磨きます。吟醸酒では精米歩合が60%以下、大吟醸酒では50%以下という基準があり、中には20%台のものもあります。
50%というと酒米の半分を削ることになりますが、通常は中心部分(心白)を残すように球形に精米します(球状精米)。外側のタンパク質、脂質など酒の雑味や異臭のもとになる不要成分を削り落とすことで、美味しい酒が醸し出されるからです。
一方、扁平精米は心白を残しながら、不要成分を十分に除去し、かつ有用な部分(デンプン)を残すことができます。実際にコメを見ないと頭の中では想像しにくいと思いますが、扁平精米は「酒米を無駄なく効率的に精米したもの」と思ってください。
ただ、扁平精米はコメに圧力をかけるため割れやすくなり、長時間の精米が必要とされます。そこでサタケは、扁平精米に対応した切れ味の鋭い新型砥石と圧力制御装置を開発し、課題を解決しました。日本初の動力式精米機を発明し、吟醸酒誕生にも貢献した創業者佐竹利市の心は今も連綿として生きています。
近年、吟醸酒は欧米で愛飲家が増えています。少しずつでも日本の技術と伝統の粋である「吟醸酒」が世界中で飲まれるようになれば嬉しい限りです。
「丸~い地球で、扁平の美酒を飲む」って、いかが?