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信長と揺動籾摺機は同じ境地?

2024.03.18


 米農家は秋の収穫後も落ち着く暇なく乾燥調製作業をします。丹精込めて育て収穫した米を、粒の揃ったきれいな玄米や白米にしなければなりません。昔なら、はざ掛けして籾を乾燥し、臼で籾殻を除去して玄米にしていました。さらに白米にするために米搗き臼(碓:からうす)で精米する...。それはそれは大変な重労働でした。
 その精米作業を楽にするために、当社の創業者である佐竹利市が発明したのが「四連唐臼搗精機」であり、日本初の動力式精米機の誕生でした。その後、現在の穀物乾燥機の原型となる「テンパリング乾燥機」を発明し、コンバイン収穫後の乾燥作業の効率化と品質向上を図りました。
 さて、残るもう一つ「籾殻の除去=籾摺り」はどうなったでしょうか。テンパリング乾燥機が誕生した昭和40年(1965年)頃は、籾殻の除去(脱ぷ)にゴムロールを使用し、籾と玄米の選別に万石式を使用した籾摺機が主流でした。ただ、万石式は運転操作が難しく熟練を要しました。
 そこで当社が考えついたのが「揺動選別方式」でした。揺動選別方式は、籾と玄米の比重差や粒径差、摩擦係数の差を主として利用したもので、平面板の底に多数の凹部を設けた選別板を傾斜させ、さらに揺動させて籾と玄米を分けるという画期的なものでした。農具の「箕(み)」の選別原理をさらに発展させたものと考えれば分かりやすいでしょう。

image240318.jpg初の揺動籾摺機(SPS型)

 この揺動選別方式を使った農家用籾摺機を世に出したのが、昭和49年(1974年)、今からちょうど50年前のことです。既にライスセンターなどの施設で揺動選別機は使われていましたが、農家用として登場すると一大センセーションを巻き起こしました。農機展示会での選別実演を見た農家の方々は、その奇抜な選別方法と選別精度の高さに驚かれました。その後、籾摺機メーカーとしては後発だった当社がトップシェアを取るようになりました。他社も、まさか精米機メーカーの当社が揺動籾摺機でシェアを拡大するとは思わなかったことでしょう。当時はさぞ揺動、いや「動揺」されたことと思います(笑)。
 あれから50年経ちました。かの信長の「人間五十年下天の内をくらぶれば夢まぼろしの如くなり」は有名ですが、揺動選別方式もいずれは新技術にその地位を追われ、夢まぼろしになるのでしょうか。

 いや、むしろ技術革新のために、そうあって欲しいと思います。

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