明日を創る力「サタケ」

SATAKE GLOBAL

現在のページ

ニュースリリース

No.17-028 /2017年10月18日

共同選別による負担軽減で品質向上・生産拡大へ

― 秋田県・新潟県 枝豆振興の取り組み ―

 全国有数のコメ生産県である秋田県と新潟県。これまで稲作に偏重してきた分、近年のコメ余剰傾向や米価下落などを背景に、農家所得の維持、確保が課題となっている。新たな収益の柱として、それぞれ園芸作物の栽培振興に力を入れているが、中でも取り組みやすさや収益性の面で優れ、注目されているのが「枝豆」だ。JA主導の環境整備により品質向上・生産拡大を目指す、両県の取り組みを取材した。



「えだまめ日本一」を目指す秋田県


生産拡大を阻む選別作業


 「えだまめ日本一」を目指して、産地の育成に取り組んできた秋田県。東京都中央卸売市場では、秋田県産枝豆が平成27年、28年と、取扱量日本一の連覇を達成しており、その存在感は日増しに高まっている。
 「もっと秋田県産の枝豆を」と求める声に応じ、県下各JAにおいて枝豆増産を推進してきた。その中でも、県南部に広がる仙北平野を中心とした地域を管内とするJA秋田おばこ(本店:秋田県大仙市佐野町5番5号、代表理事組合長:原喜孝)は、県内産枝豆の約3割を生産する一大産地。土が肥沃で昼夜の寒暖差が大きく、甘みのある美味しい枝豆が獲れる地の利を生かし、県のオリジナル品種である「あきたほのか」を中心に、約20品種の枝豆を生産する。

JA秋田おばこ・原喜孝代表理事組合長


 枝豆増産に取り組むにあたり、足かせとなっていたのが収穫後の選別作業だ。従来は、個々の農家が夾雑物除去などの粗選別をはじめ、厚み選別、洗浄、脱水、本選別、計量、袋詰めまでをすべて行い、JAに出荷していた。「鮮度が命」の枝豆にとって、これらの作業はまさに時間との戦い。特に本選別以降の工程はすべて手作業のため、収穫量が増えると処理が追いつかず、次の収穫が遅れて莢(さや)がふくらんだり、黄ばみが発生してロスが増えてしまう。逆に言うと、選別工程の能力以上に生産量を増やすことができない状態だった。


選別工程の省力化を実現、生産拡大へ


 さらなる生産拡大のためには、選別工程省力化という「出口対策」が必要不可欠だとして、本年7月、「JA秋田おばこ枝豆選別施設」の稼働を開始した。同施設へは、各農家で脱莢(だっきょう)、粗選別、洗浄まで行ったものが搬入される。荷受から選別、計量、袋詰までの一貫ラインを2ライン備えており、大量の原料も迅速に処理することができる。

搬入された枝豆は計量されたのち選別工程へ


 選別工程で大いに威力を発揮するのが、サタケの多用途ベルト式光選別機「BELTUZA(ベルトゥーザ)」だ。ベルトコンベアにて搬送された原料を、上下に取り付けられたフルカラーカメラでチェックし、色彩の違いに加え、形状の違いをも識別する。そのため、一部または全部が変色した不良品はもとより、一部が欠けたものや莢に1粒しか入っていないものも、形状不良品として登録しておくことで不良品と識別することができる。異物・不良品と判断したものを、空気噴射ノズルからの圧縮空気により除去する。光選別機で選別を行ったあとは、さらに人の目でチェックをし、微妙に変色した不良品などを丁寧に取り除いている。

光選別機BELTUZAを核とした選別、計量、袋詰ライン。2ラインが並行して稼働する。


 「一番手のかかる選別作業を省力化し、JAが担うことで、農家には栽培に専念してもらえる。負担が軽減されれば、規模拡大、参入意欲もおのずと高まる。現に今年は当初予定した以上の集荷ができている。嬉しい誤算だ」と喜びを語るのは原喜孝代表理事組合長(60歳)。「今年は増産していない農家も、施設の状況を見ているので、来年はさらに規模拡大するところが出てくるのでは」と、さらなる増産にも期待を寄せる。


余剰労働力で防除を徹底


 効果は増産だけにとどまらない。選別工程を共同選別施設に集約したことにより、個々の農家で選別する場合に比べて品質のばらつきが無くなり、JA秋田おばこ産枝豆の品質の底上げにつながっている。収穫遅れによる品質低下も防止できる。また、選別前、選別後の枝豆重量はコンピュータに記録され、そこから算出された歩留のデータが農家へフィードバックされる。それが栽培指導などを通して、次への改善に生かされる。

光選別機を通ったあと、人の目で再度詳細にチェック


 さらに、選別工程の省力化によって生まれた余剰労働力は本来の栽培管理に注がれ、さらなる品質向上へとつながっている。同JAえだまめ部会の佐々木義文部会長(69歳)は「以前は収穫・選別・出荷作業のために5~6名の人手が必要だったが、選別施設ができてからは3名いればできるようになった。手が空いた分、防除作業に十分手が回るようになり、害虫被害を減らすことができた」と胸を張る。
 選別によってはじかれた規格外の枝豆は、加工用としてムダなく活用され、それがまた農家所得の向上につながる好循環も生まれている。

技術顧問担当のJA秋田おばこ営農経済部・田口誠毅次長(左)と、枝豆部会・佐々木義文部会長(右)


 選別施設によって規模拡大への道筋をつけられた今、原組合長は「数量では秋田県一だが、品質の面でも『さすがJA秋田おばこだな』と言われるようになりたい」と抱負を語る。そのための取り組みの一つが、土壌分析センターを活用した土づくり指導だ。技術顧問担当の営農経済部・田口誠毅次長は「高品質を目指すうえで重要なのは土づくり。土が良くなければ、上のものは良くならない。土壌分析装置での分析で土の健康状態を把握し、適切な施肥ができれば、食味向上も図れる」と、データに基づいた土づくり指導に意欲を燃やす。


JA秋田おばこ産枝豆の良さを全世界へ発信


 JA秋田おばこ産枝豆の良さを全国へ、さらには世界へ広めるため、まずは地元消費者へのアピールの場として本年6月、同JAは産直市場などの複合施設「chouchouette marche(しゅしゅえっとまるしぇ)」をオープンした。地元産野菜を販売する市場のほかに、レストランも併設されており、新鮮な野菜をその場で味わえる。若い女性をターゲットとしてデザインされた店舗ということもあり、女性客を中心に連日多くの来客で賑わっている。原組合長は「東京に店を構えるより、まず地元の方々に味わってもらって、『美味しい』という感想をSNSなどで全国に拡散していただければ」と期待を込める。

産直市場などの複合施設「chouchouette marche(しゅしゅえっとまるしぇ)」


 「稲作には不利な小さい田や、中山間地域の農地であっても、枝豆なら栽培に適する所もある。昔から栽培されている作物で、新しい技術が求められるわけでもない。まだまだ拡大の余地があると考えている。現在約200ヘクタールの栽培面積から、さらに50ヘクタールほど拡大したい。園芸販売高30億円を目指し、収益の柱を一本一本立てて、大きく育てていきたい。そのために今後もJAとしての役割をしっかりと果たし、農家の所得向上に全力で取り組んでいく」と、原組合長は決意を語った。

出荷を待つJA秋田おばこ産枝豆



日本一枝豆を愛する新潟県


手作業では限界を迎えていた選別作業


 言わずと知れた、米生産量日本一の新潟県。実は枝豆作付面積が日本一で、1世帯あたりの購入数量も日本一だ。上越新幹線の一部列車内では、期間限定で朝どれ枝豆の販売を行っているほどで、非常に枝豆好きな県民性がうかがえる。
 県中央部に位置するJA越後ながおか(本店:新潟県長岡市今朝白2丁目7番25号、経営管理委員会会長:鈴木金次、代表理事理事長:三浦藤昭)も、枝豆生産拡大には積極的に取り組んでいる。同JAでは園芸作物との複合経営により農家所得向上を図るため、平成26年より共同選別を始めた。背景にはやはり、収穫後の選別・袋詰作業が規模拡大のネックになっている現状があった。

光選別機BELTUZAによる選別工程


 同JAの共同選別施設へは、農家によって枝付きで搬入する場合と、脱莢して搬入する場合がある。枝付きの場合は脱莢をしてから、葉や茎などの夾雑物を取り除き、洗浄・脱水して選別し、計量・袋詰という流れで作業を行う。昨年までは選別をすべて人の手で行っていたため処理が追いつかず、毎日約12時間かけて何とかさばいていた。手作業では限界を迎えていたことから、今年、サタケの多用途ベルト式光選別機「BELTUZA(ベルトゥーザ)」を共同選別施設に導入した。
 同施設においても、まず光選別機で明らかな不良品を除去し、次に人の目で詳細にチェックをして、微妙な不良品を除去するという、2段階の選別を行っている。同じ量を処理するのにも、半分近くに時間短縮が可能になり、選別にかかる人数も削減できた。その分、袋詰め工程の人数を増やし、施設全体として作業時間を4分の3ほどに短縮できた。今では定時間内にすべて作業が終わる。


規模拡大・販売拡大への布石を着々と


 「共同選別施設ができてから栽培面積、農家とも増加している」とその効果を語るのは、営農部園芸特産課の神林孝之主任。当初12ヘクタールだった管内での栽培面積は、4年間で27ヘクタールにまで拡大した。「共同選別によって品質面でも評価されるようになった。将来的には35ヘクタールを目標に、より高品質な枝豆の生産を拡大していきたい」と神林主任は展望を語った。

JA越後ながおか営農部園芸特産課・神林孝之主任


 同JAではコールドチェーンに配慮し、洗浄後の枝豆は5度で真空予冷し、手選別・袋詰作業は約20度の低温倉庫内で行うなど、鮮度維持にも努めている。
 今、最も力を入れる品種は「一寸法師」。莢が小ぶりで甘みがあり、香りが良く、茹で上がりが色鮮やかという特徴を持つ、JA越後ながおかでのみ生産しているオリジナル品種だ。ブランド化を目指し、一昨年に「越後ながおか一寸法師えだまめ協議会」を設立した。地元スーパーはもとより、東京にも出荷しているが、今後も良食味、高品質を売りとして、さらなる販売拡大に関係者の期待が高まっている。

袋詰めされたJA越後ながおか産枝豆



 秋田、新潟いずれの事例を見ても、今後の枝豆生産を考えるうえで、選別工程の省力化は大きな鍵をにぎる。省力化により生まれる余裕が、さらなる品質向上へ、規模拡大へとの意欲向上につながる。水田からの転作という副次的な位置づけから、「枝豆が本作」というように主体として生産に取り組む生産者も出始めている。生産者が栽培に専念できる環境をいかに整えるか。それいかんによって、さらなる品質向上、規模拡大を図れる余地は大きい。これらの事例が何よりその証左と言えよう。


以上

【↑ページトップへ】

※ニュースリリースの内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

サイト情報

© 2000 SATAKE CORPORATION